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コロナ禍と国葬禍の中ふと旅に(2)〜山鹿 [日記]

山鹿下町.jpg豊前街道(山鹿市)


10日の室内楽や合唱に続き
11日も山鹿市の八千代座でケント・ナガノの公演
この日は
能『月の卯』(つきのうさぎ)で始まり
真ん中にシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」(抜粋)を挟み
最後再び「月の卯」で終わるというプログラム。

月を介して東西のそれぞれの魅力を引き立て合う形となり
一体のものとなり,試みは成功していたと思う。
深い感銘を覚えた。

11日は古墳をめぐって古代人の生死観に思いを巡らせ、
古刹を訪れて戦乱に思いを馳せ、
自分は「疲れた」一日、
精神は何物かに憑かれたようでもあり
道化のような人生でもあり、
故郷に戻ったところまで同じ設定ではないか。

物語は(西欧だと月の光を浴びるというのは
病んだ心を連想させる)道化師が、
人を笑わせるのがなりわいながら、
哀しみに打ちひしがれているのかーー
月に憑かれ、人生にも疲れはて、
故郷に戻って
絵に描かれた酒に酔ったり
懐かしい香りに遭遇したりする。

一方の月の話は、
僧侶に様々の獲物を持ち寄る動物たちの中
ひとりウサギだけが獲物がなく、
自分の命を差し出すというもの。
ウサギは神様に哀れに思われて昇天し
月にその姿を映して
永遠に姿をとどめる。

シェーンベルクの音楽が調性のない現代的なものなら、
朗唱されるのは象徴詩、
そして所作と舞を伴った能、
その笛と鼓にしても極めて象徴的、哲学的、精神的な世界、、
それらが渾然一体となって夢幻の世界に誘うのである。


八千代座の中はこんな感じ。公演中の撮影は禁止で
これは5年前のカタログから
『ふるさとの湯のぬくもりの十六夜』
 https://noraneko-kambei.blog.ss-blog.jp/2017-11-06

豊前街道(肥後〜小倉)の通る山鹿はかつて栄えたが
鉄道が海岸沿いを走るようになってからさびれた。
私の母の家も古い造り酒屋だったが
没落してもう誰も住んでいない

 山鹿散策


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上のお寺、最初の2枚は日輪寺。3枚目(右下)が金剛乗寺

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