『安倍一族』（森号外 著） （連載小説 その180809）

首相と官房長官がドヤ顔で壁掛けした皇位継承式典事務局の看板は「務」の漢字が間違っていた（『看板のマ違い』）。鉾偏のマの部分がフとなっていた件、実は情報機関の工作だった。

北村滋。日本の秘密警察というかスパイ機関というか、内調（内閣情報調査室）、そのトップ、内閣情報官だ。
「安倍首相と最も頻繁に会う男」と言われる。この日も北村は首相に密かに情報を伝えた。内調の話はあのねのね♪である。

「総理、皇位継承式典事務局の看板ですが、実はここに細工を施しました。私がフランス赴任中に仕込んだヨーロッパの古い手口なのですが」
「ほう」
「事務局の「務」の字を特殊な墨で書いたのです。偏の上の部分は正しくは「マ」ですが、干される者、自分にふさわしくない役職に就いている者やバカ者は、それが「フ」に見えるようになっているのです」



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