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一年有半 [経綸問答]

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『民約訳解』や『三酔人経綸問答』で知られる東洋のルソー
こと中江兆民は52歳の明治34年
=1901年の4月に体の不調を覚え
結局これが癌であることが判明。
医師に
「諱むことなく明言してくれんことを請ひ…
 いよいよ臨終に至るまで
 なほ幾何日月あるべきを問ふ」と
医師は
「沈思二、三分にして、
 極めて言ひにくそふに曰く
 一年半、善く養生すれば二年を保すべしと」

兆民はせいぜい5、6ヶ月かと思っていたので
これ幸いと著したのが遺作の
『一年有半』および『続・一年有半』である。

「一年半、諸君は短促なりといはん、
余は極めて悠久なりといふ。
もし短といはんと欲せば、十年も短なり、
五十年も短なり、百年も短なり。
それ生時限りありて死後限りなし、
限りあるを以て限りなきに比す
短にはあらざるなり、始めよりなきなり。
もし為すありてかつ楽しむにおいては、一年半
これ優に利用するに足らずや、
ああいはゆる一年半も無なり、
五十年百年も無なり、
すなわち我儕はこれ虚無海上一虚舟」

八月になると痛みも生じてきた。
このところの炎暑のためだろうか、
いや自分の毎日の執筆のためだろうか、
手当たり次第に人を罵倒して余力を残さないからか、
それとも天罰で死が早まるということなのか、、
だったら自分も急がなくてはなるまい、
そうして
「一頁にても多く起稿し、一人にても多く罵倒し、
一事にても多く破壊し去ることを求むべし」

「伊藤以下皆死去ること一日早ければ、一日国家の益となるべし」

伊藤博文など、
あいつらが一日でも早くみんな死んでしまえば、
それだけ国のためというものだ、
などと罵倒し続けていた兆民だが、
その年の暮れに
その自分が死んでしまった。満53歳。
一年有半ももたなかったのだ。




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仏学の兆民がいま生きていればきっと
マクロン革命の訳解をしていることだろう。

アメリカ・ファーストのトランプや
EU離脱のジョンソンという
落ち目のアングロサクソンを尻目に
メルケルとマクロンの独仏連携で
統合の次なる段階に進んでいるかのような
大陸ヨーロッパの訳解も
厄介とは思うが
やってくれるはずである

ソビエトの崩壊で共産主義が終わったのではなく
レーニン、スターリンの共産主義が終わったのであり
新自由主義、強欲資本主義が行き詰まって
再びまたマルクスに注目
という今

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