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「略奪が始まる時、銃撃が始まる」(ドナルド・トランプ) [人権]

アメリカは白人警官によるアフリカ系市民の殺害を受け、
人種や差別にまつわる緊張が社会を包み込んでいる。

(警官は、ジョージ・フロイドさんが偽札を使ったという通報を受け、職務質問。
 膝で首を押さえつけられ「息ができない」と訴えたフロイドさんだったが、
 警官は耳を貸さずにその姿勢を続け、フロイドさんは息絶えた。
 その場に居合わせた人が撮った、その残酷で衝撃的な映像がSNSで拡散)

トランプ大統領は移民を締め出す政策を推し進め、

これまで差別的な言動を繰り返してきた。

今回の事態の発端となったミネアポリスの白人警官が
黒人のジョージ・フロイドさんを殺したのと同じ姿勢で
トランプが自由の女神を押し殺しているという風刺画が
大統領のこれまでの事態への対応を鋭くえぐって強烈だ。

トランプと自由の女神.jpg

警官は首根っこを膝で押さえつけてフロイドさんを窒息死させた。
以来、跪(ひざまづ)くのが、差別や偏見、警察の暴力への
抗議や反対表明となっている。



「略奪が始まる時、銃撃が始まる」

そんな中、トランプがこうツイートした。
暴徒化する市民への厳しい警告のつもりだったが、
この成句(フレーズ)には歴史的な背景があった。

そのことを知らずに使ったトランプ
(これまでも歴史への無知や無理解をさらけ出してきた大統領だが)。

ツイッター社は暴力の賛美に関する規則に違反しているとして
大統領のこのツイートの公開を制限する措置に出た。

実はこれ、1960年代のマイアミの警察本部長の有名なセリフだった。
公民権運動の指導者らから批判され、
警察の差別的な強硬姿勢を象徴するフレーズともなり、
後の黒人暴動のきっかけともなったといういわく付きのものだった。

そのことを指摘され、そんな歴史的な意味合いは知らなかったとトランプ。
しかし、詫びるわけでもなく、自分はただ過去の経緯とは別に、
ただその語句の意味することだけを念頭に発信したのだと釈明。

なかなか自分の非を認めたがらない。
今の日本の総理大臣とよく似ている。

自分から無知を恥じ、ツイートを詫び、
自分も同じ姿勢をとって連帯の気持ち、
宥和の姿勢を示せばいいのに。そうすれば
どれだけ緊張や対立を和らげることかと思う。
自分の再選のチャンスにもつながるだろうに。

The History Behind 'When The Looting Starts, The Shooting Starts'
NPR (National Public Radio) https://www.npr.org/2020/05/29/864818368/the-history-behind-when-the-looting-starts-the-shooting-starts

アメリカから始まって欧州でも、
差別や偏見に抗議して
ひざまずく姿勢が広がった。
市民や有名人、スポーツ選手、
さらには警察官までもが加わっている。

BLM (Black Lives Matter=黒人の命は大切!
   「黒人の命を軽んじるな!」)の運動のうねりである。

(大河ドラマの立て膝はこれとは関係なさそうだ。
 あれは時代考証による。実は、正座が一般化したのは
 もっとあとのこと)

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その一方で、奴隷制の時代や植民地時代の遺物を一掃しよう
という動きも広がりつつある。

↓ ↓ ↓ ↓ ↓

昔は「アメリカを発見した」と歴史で教わったコロンブス。
もうそのような教え方はされないが、
ボストンのコロンブス像はついに頭部を破壊されてしまった。



『風と共に去りぬ』は配信停止に



南軍のリー将軍の像もどうなることやら。



ベルギーではいたる所に立つレオポルド2世の像をどうするかの論争
植民地コンゴ(国王が所有)への仕打ちはことのほか残酷であった

"The Belgians didn't bring civilization to Congo —
Belgium came to steal." Art historian Anne Wetsi Mpoma

「ベルギー人はコンゴに文明をもたらしたのではない。
 盗むためにやって来たのだ」

とコンゴ系ベルギー人学者。


イギリスではチャーチル像に落書き
 


映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
(原題:Darkest Hour)2017年・英米共同制作。
監督:ジョー・ライト 主演:ゲイリー・オールドマン

「チャーチルを英雄に祭り上げ、ベンガル飢饉については黙して語らぬ」
とこの映画を批判するインド人の手になる記事。さすがに手厳しい。

チャーチルがインドのことを
「俗物と退屈なやつらの、神なき土地」と形容したのは有名なこと、と言う。

飢饉はインド人が「ウサギのように繁殖する」代償だと言っていたチャーチル。

死者の数を知らされたときのチャーチルの答えはこうだったという。

「なんでガンジーは死なない?」

まさに自分がインドを食い物にし、インド兵を多数配下に従えているときにである。
チャーチル自身、ヒットラーと戦い、反ヒットラーの価値と道徳を称揚する一方で、
ベンガルの飢饉を画策し、それを喜んでいたのだ。

インドの人口を「うまいこと」間引けるからだ。

この男こそ私たち(インド人)にとってのヒットラーだった。
なのに、彼に対する憎悪はどこにあるというのだ?
6部門でアカデミー賞候補に上がっているではないか。

チャーチルは、有名な人種差別主義者だった。

戦争屋の彼を人間味あふれる人物に描くのは、歴史の歪曲であり、
しかも、しれーっと嘘をつく、ということである。(・・・)

(この映画によれば)祖母の話のすべてが、
私たちが子供の頃から聞かされてきた話のすべてが、
そして食べ物を頂くときの私たちの感謝の気持ちのすべてが、
嘘ということになる。

チャーチルは人種差別主義者として有名であった。
彼の頭の中のダーウィン的な力のピラミッドでは、
白人のプロテスタントが頂点に位置し、
ユダヤ人とインド人が最底辺、
そのすぐ下にアフリカ人がいる。
このことは多くの歴史家や知識人によって言及されてきたことである。
新しいところではシャシ・タルール(インド人作家・国連事務次長)。(・・・)

チャーチルのようなファシストを英雄視し、
イギリスの栄光の過去という物語を作り上げる必要性は認める。
ポスト・ブレクジットの時代ならなおさらだ。(・・・)。

しかし、国の大きなアイデンティティの危機にあって、
戦争屋で殺戮者である人物を人間味あふれる姿に描くことと、
2世紀にわたって植民地が被った辛い歴史の真実をごまかして
嘘をでっち上げようということは、到底、同列には論じられない。
自らを欺くためにイギリスは
10億の民の歴史を蔑ろにする物語をでっち上げているのである。
もちろん、今に始まったことなどではないが。

セシル・ローズ



日本ではまだそのような動きは見られないようだ。


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ありがとうございます! m(_ _)m


先日も紹介した記事、再録しておく


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