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政権と一枚岩田わたしのことよ 〜NHKのとんでも解説と欧米の辛口報道の乖離 [アベラ国]

英ガーディアン紙(下に全訳)が安倍のイラン訪問を「近年の仲介外交 大失敗例の一つ」と報じた。

「40年ぶりの日本の首相のイラン訪問と囃し立てながらも、それは屈辱のうちに終わった」

「ハメネイの対応は、極めて否定的なものであった。日本の首相が自らの意思でやってきたという
まことしやかな建前ははねのけ、テレビカメラを部屋に招き入れた上に、
これ以上ないほどの厳しい言葉で、絶望的な表情の安倍に伝えた。
ドナルド・トランプの親書をたずさえてやってきたのは時間の無駄であったということを」

「トランプは安倍に負わせた傷にさらに侮辱の塩をすりこむ。安倍とその仲介は
たちまちハシゴを外された。安倍は善意からの行動ではあるが
考えが甘かった、まだ交渉の時ではないとトランプのツイート」

「トランプのお役に立とうとして後悔する外国の指導者はもちろん日本の首相が最初
ではないし、最後でもないだろう。しかし、危ない橋を渡っていることは分かっていたはずだ。
アメリカの外交政策という混沌の中に身を投じたのだから」

「安倍の和平のお使いの1週間足らず前、アメリカは石油化学産業を標的に
新たな段階の経済制裁を課していた。日本の仲介は、始まる前に失敗が運命づけられていたのだ」

トランプは金正恩と直接向き合うという終着駅にまで自分を運んでくれた特急列車
「最大限の圧力」に味をしめ(しかし、それは軍縮には至らぬ金正恩の勝利なのだが)、
イランとも同じ列車で行けると思ってしまった。

「そしてトランプが「取引の達人」との自負ゆえに降りられなくなったその列車だが
「トランプはここに来てどうやら分かったようである。自分が乗り込んだ列車は
華々しい首脳会談に向かうものではなく、下手をすると湾岸で起きる破壊的な紛争に
向かうものであるということ、そして、その方向に突き進むことに関して、
自分の政権の高官たち、なかんずく国家安全保障担当の大統領顧問ジョン・ボルトンが
すごく満足していること、熱狂さえしていることが」

「トランプはその列車から降りて取引をしたかった。しかし、安倍の仲介の様子を見る限り、
トランプにはどうしたら下車できるのか、まったく分かっていないようである」

「この地域は、何か事態のエスカレーションがあるごとに、戦争に突き進む動きが
いよいよ誰も止められなくなって行く」

このような辛口の論評をNHKのアベッタリ岩田明子解説委員のものと比べるがいい。岩田が政府の広報係でしかないことが歴然とするであろう。

      政権と一枚岩田 わたしのことよ 


同じ事象をとらえて、報道がここまで隔たるものだろうか。

「安倍首相の助言を重視」(NHK・ニュース7)
安倍首相の助言を重視.jpg 助言を重視
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『ニュース7』での解説:



(日本政府は)「ハメネイ氏が外国の首脳と会うことは多くなく、日本政府は
伝統的な友好国のトップであり、なおかつトランプ大統領とも緊密な関係を維持する
安倍総理大臣の助言を重視していることの表れだとみています」

重視しているならなぜ安倍のお使い(トランプの親書手渡し)を拒む?!

さらに腑に落ちないのが「日本政府は詳細なやりとりは明らかにしていませんが、」ときて、
安倍が何をしたかを言っていることだ:

「ハメネイ師が宗教的見地から核兵器などの大量破壊兵器は持たないと発言してきたこと、
イランの政府高官が日本と同じ道を進みたいと発信してきたことなども踏まえ
働きかけを行ったものと見られます」

何を根拠にそう「見られる」のだろう。総理から耳打ちされたのか。
憶測か、願望か、妄想か。。

「日本と同じ道」ってどういうことだ? アメリカの核の傘に守られることや
核の密約を結ぶことではあるまいが、日本は今、核兵器禁止条約にも背を向けているのだが。

岩田記者はさらに続け「そして日本が非核三原則を堅持し、核兵器を持たないことを明確にし、
国際社会の信頼を勝ち得てきた経験なども説明しつつ、トランプ大統領の真意を
正確に伝えたものと思われます」

「思われます」? 何を根拠に? 憶測か、願望か、妄想か、嘘か。

「国際社会の信頼を勝ち得てきた」のかどうかは、異論のあるところだ。
核兵器禁止条約への加盟拒否は国際市民社会から非難を浴びてさえいる。
原発を数多く残し、プロトニウムを溜め込み、核兵器を持とうという野心があるのでは
とさえ疑われているというのに、そういう主観的な言辞を軽々しくこんなところに
(政府が詳細を明らかにすらしていない交渉の中に)挟むのは、解説というより、
怪説というしかない。
「非核三原則を堅持」というがこれだって原則は密約で踏みにじられている。
よくもこんな「解説」がまかり通るものだ。

と思ったが、まてよ、これは、政府の立場を説明しているのか。
そうか、それは聞かずともよくわかっているよ。なにせ
政権と一枚岩田さん。
批判めいたこと、懐疑的な見方、緊張が増す可能性、などなど一切ない。
これでは「ニュース」と銘打ちながら政府の立場を一方的に紹介、宣伝する、
まさに政府広報ではないか。

   岩田さん解説委員といいながら政府広報こっそりつとめ

今後日本は。。「安倍総理大臣は一連の会談でイラン側の真意を引き出すことができた
と受け止めているようです。各国の注目が集まる中、ハメネイ師とロウハニ大統領が
戦争は決して望んでいないこと、核兵器を保有する意思はないことを
明確に示す場を設けられたのも緊張緩和に向けた第一歩と考えています」

主語が「政府は」でも「私は」でも岩感ないな。この人の場合。

しかし、「イラン側の真意を引き出すことができた」「緊張緩和に向けた第一歩」と
盛んに安倍を持ち上げたが、何一つ目新しいものはない、ということは
河野太郎外相がちゃんと教えてくれている。

「ハメネイ師はこれまでの立場を述べた 強い反発とは認識せず」
河野外相 | 注目の発言集 | NHK政治マガジン
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/18819.html

岩田明子:安倍は「トランプ大統領の真意を伝えてハメネイ師の真意を引き出した」。

つまり

トランプの真意:交渉しようよ
ハメネイの真意:やなこった

ならそのとおり。

トランプの真意は「交渉をしたい」ということ。
ガーディアン紙の比喩を借りれば特急「最大限の圧力」号から下車したいということ。
東京でもその意向を表明していた。

安倍 イラン訪問 11.png

We’re ready. We’ll see what happens.

5月に東京でトランプはこんなことを言っていたのだった。

安倍はそれを伝えに行って、伝えられなかった。
ハメネイには、親書を受け取ることさえしてもらえなかった。
しかもその間、日本のタンカーが攻撃を受けている。

こんな惨めにも失敗した仲介もめずらしいと思うのだが。

とにかくハメネイの真意はこうなのだ。

(トランプはいかなるやりとりにも値しない)

これでイランが安倍をどう重視しているというのだ?

これでは岩田怪説委員の手口はまるでこうだ。ハメネイ師が「日本の善意は疑わないが、
アメリカは親書の交換に価する相手とは思わない。今も、将来においても」みたいなことを言うと、
そのどーでもいー部分をとらまえて(前段の外交辞令的部分、大事なのはそのあとなのに)
「ハメネイ師が日本を重視した」みたいなふうに伝えるということ。
都合のいいところだけふくらます。そして推測〜妄想を入れる。
都合のわるいところは聞かなかったことにしてばっさり削除。

なんでこれで解説委員。だれかがツイートしてたな。
NHKよ、度胸あるなら岩田の解説を英語にしてNHKの国際放送で全世界に発信してみろ、と。

重視してるなら
わざわざ呼び寄せて
受け取り拒否するかね


「トランプはいかなるやりとりにも値しない」
「アメリカを信用していない」
「圧力にさらされている中で対話することはない」


「ハメネイ師はこれまでの立場を述べた 強い反発とは認識せず」
河野外相 | 注目の発言集 | NHK政治マガジン https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/18819.html

「ハメネイ師が「アメリカを信用しておらず、圧力にさらされている中で対話に応じることはない」
と述べ、アメリカとの対話を拒否する姿勢を示したことについて、同席した河野外務大臣は
「イランは、これまでも、『制裁のもとでの交渉は行わない』と言ってきている。
ハメネイ師はこれまでの立場を述べたもので、特に強い反発とは認識していない」

ハメネイは安倍の「助言を重視」、安倍がイラン側の「真意を引き出した」という
岩田明子解説委員だが、河野外相も、これまでと変わらずと、会談の成果がなかったことを
わざわざ教えてくれているではないか。


トランプ大統領の親書の受け取りを拒否

「原稿の安倍」の原稿も尻の下に隠してしまった。。
もう下手な原稿、読み上げられないような雰囲気になったのか?


事件が起きて早々にアメリカのポンペオ国務長官(元CIA長官)からそう言われても。。

イランは否定。国連が調査呼びかけ。

タンカー攻撃、独立調査を=「責任明確に」-国連総長:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019061500185&g=int

「日本を侮辱」とアメリカのポンペオ国務長官だが
ひょっとしていちばん日本を侮辱しているのは
この人たちではなかろうか。
ポンペオ、ボルトン、トランプ、、彼らが多分いちばん日本を馬鹿にしてる。
それでもって、日本は勲章をあげたりするんだよ(『落日ラムズフェルドに旭日大綬章の狂気』
https://noraneko-kambei.blog.so-net.ne.jp/2015-11-04)。

事前にイランに対して制裁を強化した上、安倍を使いに出してイランが受け取らない親書持たせ、
それに合わせてタンカー攻撃(←これはまだよくわからないが、イランが日本の船2隻を
どう特定できる? CIAとかイスラエルの情報機関ならまだしも。
それに「犯人の特定」があまりに早い、証拠もあいまい)。

影で笑っていたりして?それとも血が騒いでいる?
ガーディアンはボルトンが熱狂していると書いたが。。
ネタニヤフはまた靴の器をテーブルに乗せて笑ってる?
(『首相の食卓に「靴」のショック卓 〜ネタニヤフのネタ』
 https://noraneko-kambei.blog.so-net.ne.jp/2018-05-08


上にも書いたが河野太郎がわざわざ教えてくれている。
驚くにあたらないと。これはイランのこれまでも主張してきた立場だと。
だったらいよいよ今回の安倍の成果はないということだ。

冒頭、記事を紹介したガーディアアンはリベラル紙だが
公共放送BBCも安倍のイラン訪問の狙いを見抜いている。


BBCが紹介する専門家も、日本は欧米と違ってイランと歴史的・宗教的な対立はないのに
イランから安倍は誠実な仲介役とは見られていないことを指摘。

仲介役には偏りがないことが求められるが、安倍はトランプと親しすぎる。
東京でもイランとの交渉の話が出てきていた。

安倍がトランプの命を帯びてやってくるのは明白というわけだ。

それに誰も指摘しないのであえてもう一度書いておくが、5月場所にトランプの相撲観戦。
その中でユダス・マカベウスも演奏された。これはユダヤ・キリスト教文明に与する
極めて問題のある選曲なのである。(『ユダス・マカベウス♪と相撲とトランプと安倍(1)』
https://noraneko-kambei.blog.so-net.ne.jp/2019-05-31
((2)をまだ書いていないのを思い出した)。

いずれにせよ岩田明子解説委員の言う、トランプと親しいからイラクから「重視される」
という解説がいかにおかしいか。親しいからこそまともに相手にされないのだ。
どこが「重視」か。

ジューシーの間違い??

それでもイラン行きは「安倍氏には好材料」とBBCは専門家の見方を伝える。

「世界の舞台で活躍する政治家」と有権者にアピールできるというわけだ。7月には参議院選挙。

安倍は、日本経済が低迷し、良い時代が終わった今、国を復興させると公約して政権に就いた。
自分でも、経済を復興させ、国際社会で日本の地位を向上させる首相だと訴えている。

しかし北朝鮮、ロシア、、外交で成果はほとんど上げられていないと専門家の声。
ただ、中東の問題は非常に複雑だが、安倍にとってはリスクが少なく、
否定的な面は少ないという。

「安倍はイラン訪問で外交にに失敗したとは見られず、何か頑張ろうとしたと見られるだろう」
とキングストン教授。「自分を「実際より影響力のある人物に見せることができる」。

まさに日本で言うところの「やってる感」。
NHKや、特に岩田明子は、絶対そのような論調では伝えないだろうが。

それどころか、成果がないものをいかにも大きな成果をあげているかのようにみせかける報道、
(ないものをあるものにする報道)をしているとしか思えない。

ニューヨークタイムズ見出し:

安倍、ほとんど影響力なし、失うものもほとんどなし、イラン訪問


とはいえ、日本は大きく信用を失っている。

これほどのおべっか使いがそもそも信用されるわけがない。
もうアメリカの走り使いでしかない。
そう思われてさぞ国益が損なわれていることだろう
仲介というならアメリカにもイランにも物を言えなくては。

イラン政府に近いテヘラン大学のモハマド・マランディ教授:
「アメリカが核合意を守り、経済戦争をやめて交渉のテーブルに戻らないかぎり、
 イランはアメリカと話し合うことに何の利益も見いださない」

「日本がイラン産原油の輸入を停止しているかぎり、イランは日本がトランプ政権に
 従っていると考える。日本が今後大きな役割を果たせるかどうかは、
 イランとの経済関係を再開できるかどうかにかかっている」
(日本がアメリカと一線を画す行動をとらないかぎり、仲介役を果たすのは難しいとの見方)

かつての日本人は「国益」のためならイスラエルやアメリカとも一線を画してアラブ寄り、
中東産油国寄り(イランはペルシャ人でありアラブ人ではない)の姿勢も示した。

今は、アメリカ一辺倒だし、イスラエルへの肩入れがすごい。
トランプのアメリカが政策の大転換でエルサレムをイスラエルの首都と認めたことに
日本が賛成しなかったのは、数少ない例外の一つ。周辺国への配慮だ。

「安倍は初心者」(ウォールストリートジャーナル)


安倍は「初心者」でも岩田明子はベテラン怪説委員。
成果のまったくない、日本の国益をも損なっている首相のイラン訪問を
提灯報道によってさも何かすごいことをやっているように見せかける。。



岩田解説委員は安倍がトランプと親しいからイランに「重視される」という解説(怪説?)。
BBCが、安倍がトランプと親しいゆえにイランからは信用されないと言っているのが可笑しい。
ガーディアンなぞ安倍の仲介(「近年稀に見る仲介の大失敗」)は
始まる前から失敗が運命づけられていた「おつかい」だと書いている。
ウォールストリートジャーナル「安倍は初心者」、
ニューヨークタイムズ「ほとんど影響力なく、失うものもほとんどなし」、
ルモンド(安倍記事がそもそもなし?)、などなど、
岩田明子が「重視」と言ったのは、ひょっとして
「ジューシー」の間違いだったのでは?
と思える今日この頃である。

重視。。。まさか、ジューシーじゃないよね。














Trump's maximum pressure train hits buffers with Abe's doomed Iran mission

Japan’s prime minister isn’t the first leader to regret trying to do Trump a favor – but he must have known he was taking a risk

Julian Borger World affairs editor
The Guardian
Fri 14 Jun 2019

トランプの「最大限の圧力」列車、安倍のイラン行きの失敗で急停止

トランプの役に立とうとしたことを後悔する指導者は日本の首相が最初ではないだろうが、
リスクを冒していることは分かっていたはずだ

ジュリアン・ボージャー
英ガーディアン紙
2019.6.14

https://www.theguardian.com/world/2019/jun/14/shinzo-abe-iran-ayatollah-talks-analysis-trump

今週の安倍晋三のテヘラン訪問は近年有数の仲介外交大失敗例の一つとなってしまった。日本の首相としては40年ぶりの日本の首相のイラン訪問と囃し立てながらも、それは屈辱のうちに終わった。テレビの画面には一方に安倍を叱りつける厳しい顔のイランの最高指導者、一方にオマーン湾でもくもくと煙を上げて燃える日本のタンカー。

アメリカは木曜日のタンカー2隻に対する武力攻撃をイランが行ったものとし、イランの兵士が日本のタンカーの船体側面から水雷を除去している様子としてぼやけた白黒の映像を公表した。この映像には答えより疑問のほうが多い。不発水雷を除去したからといって証拠隠滅の工作と言えるのか?ペンタゴンは口を閉ざしている。

もしこれがイランの強硬派が緊張緩和の動きを阻止しようとしたというものなら、なぜ前日の安倍(首相)と(強硬派の主たる標的である)ロウハニ(大統領)の会談を邪魔するタイミングではなく、最高指導者ハメネイ(師)との会談の日だったのか?

たとえタンカーの炎上という目に見える象徴的なものはなくとも、安倍の仲介へのハメネイの対応は、極めて否定的なものであった。日本の首相が自らの意思でやってきたというまことしやかな建前ははねのけ、テレビカメラを部屋に招き入れた上に、これ以上ないほどの厳しい言葉で、絶望的な表情の安倍に伝えたのだ。ドナルド・トランプの親書をたずさえてやってきたのは時間の無駄であったということを。そして、負わせた傷にさらに侮辱の塩をすりこむトランプは、安倍とその仲介工作からたちまちハシゴを外したのだった。ツイートでこう発信。安倍は善意からの行動ではあるが考えが甘かった、まだ交渉の時ではない、と。

トランプのお役に立とうとして後悔する外国の指導者はもちろん日本の首相が最初ではないし、最後でもないだろう。しかし、危ない橋を渡っていることは分かっていたはずだ。アメリカの外交政策という混沌の中に身を投じたのだから。

どう見ても、安倍はトランプお墨付きの親書をたずさえて、アメリカの大統領が交渉に極めて前向きである意向を伝えようとしていた。しかし、大統領が持ちかけた話には、甘いエサがない、「最大限の圧力」を停止するといったこともない。それどころか、安倍の和平の使い走りの1週間足らず前、アメリカは石油化学産業を標的に新たな段階の経済制裁を課していた。日本の仲介は、始まる前に失敗が運命づけられていたのだ。

トランプが「最大限の圧力」列車に乗り込んだのは、明らかに、北朝鮮とたどりついたのと同じ終着駅にイランともたどりつけると思ってのことである。華々しい首脳会談、「世紀の取引(ディール)」ということだ。細かいことはこの際どうでもいい。大物同士が直に向き合うという雰囲気的なものがほしいのだ。

これが前からのトランプの流儀だった。あらゆる手を使って相手を締め上げ、しまいには相手が音を上げて交渉を願い出るように仕向ける。金正恩とシンガポールで初めての首脳会談に漕ぎ着けたことで、トランプは、このやり方への自信をいやがうえにも深めたのであった。

自分こそ「取引の達人」という自負ゆえに、最初から金正恩は核兵器の開発が一段落したら外交に軸足を移すつもりであったと思われるふしがいろいろあったにもかかわらず、そのことをトランプはすっかり忘れてしまった。金正恩がシンガポールで何一つ妥協していないということも見えなくしてしまっている。今やトランプは金正恩との関係のいわば人質である。35歳の北朝鮮の指導者から「この上なく美しい手紙」をもらったなどと言っているが、その実、軍縮はまったくのお留守なのである。

そもそもハメネイとは「美しい手紙」とは行かない仲だ。そんな生易しいものではなかったのだ。アメリカの大統領と首脳会談をしたのは、金正恩にとっては歴史的な勝利だったが、イランの最高指導者ハメネイ師にとっては考えられもしないことだし、今の状況ではロウハニ大統領にとっても政治的に不可能だ。

イラン側にも誤算はあった。アメリカが2015年にイランとの核合意から離脱し、それに追随するよう世界に圧力をかけると、イランは中国や他の石油輸入国少なくとも数カ国がアメリカの石油禁輸措置を無視するものと見ていた。しかし、これまでのところそうはなっていない。ロウハニは金曜日キルギスタンで習近平と会い、中国の意向を確かめようとしたが、習近平の立場はあいまいなままだ。

一方、EUは基礎的な人道物資はアメリカの制裁から除外する手筈であったが、まだ実施には至っていない。結局、日の目を見ずに終わるかもしれない。

経済的な締め付けに直面したイランは、失うものはどんどんなくなっていく。タンカーへの攻撃の背後にイランがいたかどうかは別として、イランはアメリの瀬戸際作戦のおかげで世界が一定のツケを払わされるようにする意思があることをほのめかしている。イランの政府高官らからこの2ヶ月にわたって聞かされてきたのは、イランがペルシャ湾から石油を輸出できなくなれば、他の国々とて同じである、ということである。

イランは核の最後通牒をも突きつけている。経済制裁が7月8日までに大きく緩和されなければ、2015年の核合意のくびきの幾つかを自ら解き放つというのだ。なかんずく、ウラン濃縮のレベルの引き上げである。これでは世界中に警報が鳴り響く。イランが核兵器を製造することに要する時間が短縮されるのだから。

トランプはここに来てどうやら分かったようである。自分が乗り込んだ列車は華々しい首脳会談に向かうものではなく、下手をすると湾岸で起きる破壊的な紛争に向かうものであるということ、そして、その方向に突き進むことに関して、自分の政権の高官たち、なかんずく国家安全保障担当の大統領顧問ジョン・ボルトンがとても満足していること、熱狂さえしていることが。トランプはその列車から降りて取引をしたかった。しかし、安倍の仲介の様子を見る限り、トランプにはどうしたら下車できるのか、まったく分かっていないようである」

一方、イランは、自らの大きな力の拠り所を見出している。中東に新しい戦争が始まる中で大統領選挙を迎えれば再選は危ういというトランプの恐怖である。この恐怖をもてあそぶのは、大きなリスクを伴うばくちである。この地域は、何か事態のエスカレーションがあるごとに、戦争に突き進む動きがいよいよ誰も止められなくなって行くのである。


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あやしい「証拠」


とにかくイスラエルべったりのトランプ。
そのトランプにべったりの安倍(イランが言うことをそうやすやすと聞くかって)。
そしてその安倍にべったりアベッタリの岩田明子である。


政権と一枚岩

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奈良 克廣

素晴らしい記事です。早速、NHKに、英訳発信しろと、メールしました。

by 奈良 克廣 (2019-06-19 17:15) 

noraneko-kambei

コメントありがとうございました。
行動まで起こしてくださり恐縮です。
by noraneko-kambei (2019-07-30 17:42) 

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