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米朝に秋風吹いて正恩が電撃的に安倍に秋波か [北朝鮮]

米朝会談後の行き詰まりからこの秋にも北朝鮮の金正恩が電撃的に日朝会談を持ちかけてくるかもしれない。こう語るのは脱北者・高英煥氏(元北朝鮮外務省)。去年の4月に続いて、また話を聞いてきた。今度はソウルとインターネットで結んでの講演会『米朝首脳会談後の朝鮮半島情勢』。以下、その要約である。

金正恩が権力の座についてもう7年。北朝鮮のナンバー・ツーで自らの後見人とも言われた叔父・張成沢を始め多くの幹部を銃殺刑にしてきた。その恐怖政治に幹部たちは縮み上がった(恐怖政治に関しては前回の『金正恩の恐怖政治とその展望』)に詳しい)。


人民に対しては「愛民」をスローガンに歓心を買う。突貫工事で遊園地やスキー場、未来科学者通り、マンションなどの大型建設プロジェクトに力を入れた。しかし、経済は低迷を続ける。

それでも人民は希望を抱いていた。金正恩にスイス留学の経験があったからだ。外の世界に触れた若き指導者。しかし、恐怖政治と経済の低迷は変わらなかった。人々は失望した。

ところが今年6月にアメリカとの首脳会談が開かれるということで、人々は再び希望を抱いた。しかし2ヶ月経って変化はない。希望が再び失望に変わりつつある。

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経済の市場化が進む。北朝鮮の経済を動かす単位は市場の経済、軍の経済、そして党の経済。それぞれがかろうじて回っている。(社会主義の国ということで、建前は国家、実質は個人、というやり方、など省略。あとで加筆しますーーのら猫)。

半島情勢

北朝鮮は2017年11月、ICBMの発射実験に成功して「核戦力が完成」したと宣言した。そこで、2018年は平和攻勢が始まるだろうという予測があったが、1月1日にさっそく来た。金正恩の新年の辞だ。

金正恩はこう言った。今年、北は建国70周年の記念事業がある。南は平昌冬季五輪。それらの成功を祈る、と。

私は北朝鮮に30年、韓国に20年住んできたが、北の指導者が南の出来事の成功を祈る、などというのは、初めて耳にした。

平和攻勢はこうして始まった。まず、2017年の10月から12月にかけ、北の外交官や企業の関係者、工作員らが、外国で接触する人々に聞いた。アメリカの北に対する軍事攻撃はあるのだろうか?韓国人も、その他の外国人も、答えは皆だいたいこうだった。「トランプのことだから分からない」。

金正恩はこれで軍事攻撃があるかもしれないと怯えた。国連の制裁も効いてきた。ガソリンは高騰し、(1キロ?1リットル?)24,000ウォンにもなった(今は8,000ウォン)。

その結果、金正恩は妹・金与正を韓国に派遣した。ソウルに行き、平昌に行って、自分の目で見て、自分で判断して来いというわけだ。そしてその結果、南と関係を改善しても、北の体制の脅威にはならない。アメリカとの話し合いに道筋を付けることができる、という判断になった。こうして南北の首脳会談が実現した。

4月27日に南北会談。そして5月26日に再び南北。そして6月の米朝会談の日程が決まる。ところが、5月24日に北朝鮮の崔善姫(チェソンヒ)外務次官がアメリカのペンス大統領を非難する。トランプは怒った。そんなことを言うのなら「会談は延期だ」となる。北朝鮮は慌てた。その8時間半後、金桂冠外務次官が謝罪声明。

肯定的に評価できるのは1)板門店であれ、金正日が南の土を踏んだこと。2)米朝会談に臨むためのシンガポール行きに中国の飛行機を借りたことを隠さなかったこと。3)6月12日シンガポールで米朝会談ということを、その2週間前に人民に伝えたこと。

シンガポールで金正恩は「ここに来るまでの道のりは容易ではなかった。自分たちの足を引っ張る誤った観念で、目と耳が塞がれていた。それを克服してやってきた」というようなことを言った。

自分の解釈では、これは、父や祖父は対米政策を間違えていたということの示唆。アメリカへの偏見があり、政策を間違えた。自分はそれを克服した。正した、ということ。これを聞いたトランプは満足だった。二人の間でうまくやっていける、と。

6月12日の共同声明では1)新しい米朝関係の樹立、2)半島の平和の確立、3)非核化、4)米兵遺骨の返還、が決まった。

合意はしたが、今、もたついている。合意に対する理解の食い違いがあるのだ。

1)から順番にやっていくというのが北の意図だったが、トランプは4つが並立していると捉えていたのではないだろうか。そして金正恩にとって1)の前提は朝鮮戦争の終戦宣言であった。終戦宣言で、米朝の新しい関係が始まる、と。

終戦を宣言すると、アメリカが北朝鮮を敵視する根拠がなくなる。となると、米軍が(国連軍として)韓国に駐留を続ける根拠がなくなる。司令部は解体だ。停戦後、限界線が引かれ、西岸(黄海側)は北に迫り上がっていて北はこれに異議を唱えていたが、その線引きも無効となる。

このように平和になると、アメリカ軍は韓国駐留の根拠をなくし、韓米同盟を揺るがす。トランプはそのことを知らなかった。帰国後、閣僚たちから講義をしてもらい、トランプは驚いた。合意から後退したのにはこのような事情がある。金正恩としては、合意したのに今になってと怒っているが、米朝で膠着しているひとつの要因がここにある。

アメリカにとっては非核化が先であり、そのあと関係構築、ということ。北は良好な関係の構築が先。そのあとに非核化。そのようなずれがある。それが今の停滞の構造的要因だ。

北朝鮮は、北朝鮮労働党新聞も中央通信社のテレビも外務省も金正恩も、言っていることで共通しているのは、アメリカは約束を破っている、アメリカは押し込み強盗のように一方的に非核化を要求する、ということ。

一方でアメリカの優先順位には変化もうかがえる。金正恩が3ヶ月に3度も中国へ赴き、習近平に会っている。中国がどうやら前ほどアメリカの言うことを聞かなくなった。中国から太陽光パネルが北へ向かう。ガソリンも中国が供与し、北のガソリン価格は安定した。中国が北への姿勢を緩めているのは、アメリカとの貿易面での緊張が背景にある。逆にアメリカにとっては、貿易戦争で中国への圧力を増さないと、北が言うことを聞かない、という事態になっている。

トランプにとって最優先事項は北朝鮮だったが、今は1)中国、2)イランなど中東、3)北朝鮮、の順。11月のアメリカの中間選挙に向けては、北がミサイルの発射実験や核実験をしなければ、それでよし、というトランプなのかもしれない。

金正恩はというと、8月27日にポンペオ国務長官が訪朝するはずだったが中止。9月9日には建国70年周年で中国の習近平を迎えるはずだったが、その話も進まない、9月12日、13日、文在寅大統領と再び南北会談の運びだったが、これもうまくいっていない。

日朝

6月12日の米朝会談から3ヶ月近くになるが、非核化は進んでいない。ポンペオ国務長官の3回目の訪朝では、金正恩と会えなかった。核の申告書ももらえなかった。4回目の訪朝のめども立っていない。

しかし、日朝の間に特異な現象が起きている。日本人観光客が8月26日に釈放された。さらに報道によれば、7月にベトナムで日本の内調のトップが北の統一戦線部の関係者と極秘会談を行なっていた。この7月と8月の出来事が、日本に対する北朝鮮の意図を測る物差しとなる。

かつて6者協議というものが行われたが、これは北朝鮮をアメリカ、中国、日本、ロシア、韓国の5カ国が追い詰めるという構図だった。5対1で北朝鮮が守勢に立たされ、北は嫌がっていた。

しかし金正恩は今年になって首脳会談を韓国と2度、アメリカと1度、中国と3度にわたって繰り広げ、一定の自信をつけている。韓国と中国は自分の側につけた。ロシアはもともと北朝鮮側。しかし、アメリカがどうしても終戦宣言に抵抗するなら、日本はどうにかならないものか、ということだ。日本を自分の側につけられないかということ。そうなると、かつての6者協議の構図が逆転して、北朝鮮側に5カ国、アメリカが1カ国となるのだ。

10月までに朝鮮戦争の終戦宣言にむけ進展がなければ、北朝鮮から安倍へ、電撃的な日朝会談の提案があるかもしれない。 北の大局的な見方はこうである。1)北の対米関係改善の目的は、基本的には、軍事的な安全保障上の危機の解消である。2)対日では、100億ドルなり200億ドルの「植民地賠償金」なるものをせしめて、国内経済の改善につなげたい、ということ。3)中国とロシアとは貿易関係を発展させる。4)韓国とは鉄道をつなげ、道路をつなげ、その建設は韓国にさせ、開城工業団地の再開、観光の再開、それによる外貨獲得。

こういう中、年内に安倍と金正恩との会談が実現するかもしれない。


質疑応答

質問1:11月くらい(?)に日朝首脳会談かも、ということだが、拉致問題に関し、日本政府が満足できるような結論が用意されているとは思えない。それでも安倍は会談に応じるだろうか?

答え:それはこちらが知りたいところ。いずれにせよ、父親と比べれば、拉致問題で前向きな姿勢を示すかもしれない。米朝会談で金正恩は「これまでの誤った観念によって目と耳をふさがれてきた。それを克服してここ(シンガポール)までやってきた」ということを言った。これは父や祖父に過ちがあったと示唆するもの。側近がいる前でそう言った。人民にも伝わる。これは大変な発言。

若さゆえ、軽率な発言をしたのかもしれない。父や祖父の過ちを示唆するまでの発言があったのだ。日本が受け入れられるような何か、安倍が受け入れざるを得ないような何かを用意しているのではないか。対米での思惑で、日本を北朝鮮側に引き込もうとするのではないか。

北朝鮮も、経済再建のために日本のお金が欠かせないことは分かっている。アメリカとの関係が進展しないと、そして拉致問題で進展しないとお金が出てこないことは北もわかっている。そのカードを用意しているはず。それが拉致問題かもしれないということ。

そのカードをいつ、どう切るか。それはアメリカとの関係いかんにかかってくる。

(とりあえず講演の要約ここまで)

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質問:文在寅政権、どこへ向かっている?韓国にいる3万人?脱北者、これからどうなる?

答え:韓国国民でも、心配している人もいれば、成り行きを見守ろうとしている人もいる。韓国のこれまでの政権のやれなかったことをやっている。それは「仲介外交」だ。北の金正恩とアメリカのトランプの間をとりもつ。下手をすると金正恩からもトランプからも疎んじられ、失敗する。しかし、軍事的方法でなく、外交で、核問題を解決しようという試みは、ひとまずやってみる価値がある。

北にひっぱられて韓国の民主主義があやうくならないか?という心配もある?脱北者に心配もある。しかし、やらせてみようと、希望をもって見守っている、というところ。

脱北者は韓国政権を信じているのではない。国のあり方、民主主義体制を信じている。政権は五年ごとに変わる。初めての試みなので推移を見守ろうというところ。韓国国民も脱北者も。

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質問:9月9日は大きな催し。しかしアメリカとの外交に行き詰まっている。国民にどう説明する。どう意味づけする?

答え:金正恩は6月末から8月20日までの間、30数回、「現地指導」を行った。どなったり、激昂したり、いかに人民思いの献身的な指導者かというイメージをふりまいた。しかしその後10日間の消息がわからない。

これは一つの可能性としては、30日動き回って疲れたということ。休んでいる。二つ目は、米朝に進展なく、困っているという可能性。習近平が北に来るという話も進んでいない。9月9日の70周年記念式典に向け、宣伝するような大規模建設プロジェクトも観光地区の開発もない、うまく進んでいない。国民に誇らしげに見せるものがないのだ。

確かにこれまで軍事力は増強した。大変なお金を注いで核開発、ミサイル開発を進めてきた。しかし、式典の軍事パレードでICBMやSLBMを並べて行進したら、アメリカに喧嘩を売っているのか?!ということになり、できない。

どうしたらいいか、困っているということではないだろうか。金正恩の動静が伝えられないということは。

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