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北朝鮮の問題を一気に解決する方法があります [北朝鮮]

誰かやってくれませんか?

「金正恩の恐怖政治とその展望」高英煥(コ・ヨンファン)氏の話を聞いた。元北朝鮮外務省の人。

北朝鮮の強制収容所の廃絶を目的に活動するNGO、No Fence主催の講演会。話を聞いて、北は案外、国内で不測の事態、国内の斬首作戦、すなわち軍人など個人の決死の行動で金正恩体制が崩壊する可能性もあるのではないか、と思った。

高氏は1991年、大使館参与として赴任先のコンゴ民主共和国から第3国経由で韓国に亡命。1985-88年は金日成のフランス語通訳を務めたという。

恐怖政治、巨大建設事業、核・ミサイル開発、今後の展望と話を聞くうち、恐怖政治に関して言えば、金正恩がこれまで党や軍の幹部の心をつかめなかったこと、その残忍さ、無軌道ぶり、国民の困窮と「元帥さま」への忠誠心の低下、核兵器は手放さない強い意志、、中国がこれまで経済制裁の陰で開けていた石油・石炭の出入り口までトランプの圧力で閉じれば、自ずから内部崩壊するとも思えた。以下、メモから講演を再現:



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今の最高指導者・金正恩(元帥さま)の父、金正日(将軍さま)は、その父、金日成(首領さま)の跡を継いで、世襲は自分で終わりにしようと考えていたという(これは恐らく日本では初めて聞かれる話)。しかし、2008年の8月に脳溢血で倒れ、40日間意識を失ったのち回復すると、側近たちを集め後継は誰がいいかと相談した。張成沢氏らが三男の「正恩氏」というと、金正日は「私も正恩」と言ったという。

20101010金正日キムジョンウンkim-20.jpg

1)恐怖政治

2008年の秋から金正恩は父に連れられてあちこちを回り、幹部たちに引き合わされ「よろしく」ということになるのだが、最初に任された仕事が国家安全保衛部(秘密警察のようなもので長年そのトップは空席、金正日自ら直接その任に当たっていた。現・国家保衛省)で部下の報告を受けること。その中で、韓国の大統領は「10.4宣言」などあった盧武鉉時代と変わって李明博はなぜ強硬なのか、調べろと金正日から正恩に指示。徹底した調査が行われ、統一戦線部(北朝鮮労働党の情報機関)の幹部が韓国に取り込まれていた、という情報が上がった。家宅捜査が行われ、私腹を肥やしていたことも発覚、韓国との交流で代表を務めていた副部長ら7名を逮捕。金正恩は7名をいきなり銃殺に処した。それまでは幹部に過ちがあっても先ずは収容所送りであった。いずれにせよ、正恩が保衛部の実質上のトップとなって史上初のことが行われた。党の幹部7名を、他の幹部らを座らせた前で殺したということ。これが正恩の恐怖政治の始まりであった。

2011年12月に金正日が亡くなる。その直後、金正恩がしたのが、金元弘を保衛部の部長(のち保衛相)に据えることだった。保衛部の強化に乗り出したのだ。そして2013年12月、張成沢と李龍河、張秀吉の処刑という衝撃的な出来事に至る。(張成沢は父金正日の妹金敬姫の夫。叔父である。金正恩の後見人ともされた北朝鮮のナンバー・ツー。李と張はその「両腕」と言われた)。


再び衝撃が走ったのが2015年4月の玄永哲大将・人民武力部長の処刑。玄は4月にロシアを訪問しロシア軍幹部と会談。ミグ戦闘機とミサイルを提供して北朝鮮を支援してほしいと持ちかけ、ロシアから断られていた。貴国の最高指導者は、北朝鮮の軍隊は世界最強で、核とミサイルでアメリカに勝てると豪語しておられる。そんな貴国をなぜ我々が支援しなくてはならない?


目的を果たせず帰国した玄永哲、自宅で妻から元気ないねと言われ、つい「若い指導者でやり辛い」と漏らす。つい、忘れていたのが、自宅が盗聴されていることであった。「若い指導者でやり辛い」の言葉は保衛部を通じて金正恩の知るところとなる。


同月人民軍の訓練で幹部大会が催され、金正恩の演説中、玄永哲はつい、うとうとと居眠りをしてしまった。金正恩という人は、自分の演説中の聴衆の様子を録画し、あとで、人々がどんな表情で自分の演説を聞いているかを詳しく調べるのが常。盗聴で拾った永の言葉ですでに頭に来ていたところへ、居眠りだ。金正恩はその場で吐き捨てた。「銃殺しろ!」


4月末、練兵場に軍幹部250人が集められた。そして彼らの目の前で、玄永哲を処刑した。使ったのは高射機関砲。1分に150発を放つ機関銃が4本束になっている。それで玄の頭から胴体、足と順に撃ってゆく。肉がちりじりになって飛び散る。叔父の張成沢も同じ処刑方法であった。


金正恩は権力を手中に収めてから去年2016年の末までに140人は殺した。金正恩統治の核にあるのが恐怖である。

1024px-Munsu_Water_Park_-_Pyongyang,_North_Korea_(11511854045)-1.jpgムンス島の親水公園


2)建設事業


金正恩は「建設」にあらゆるものを投じている。独裁者は大規模建設を好む。スターリン、毛沢東、金日成、金正日。皆大規模建設で自らの権力を誇示したい。金正恩が権力の座について始まったのが、水族館、イルカ・ショー施設、スキー場、畜産場などの建設であった。金正恩は外国で暮らしていた経験があるので、自国のみずぼらしい状況がよくわかっている。だからこそ建設に力を入れる。しかし、地域の住民はその犠牲となる。電気や水が来なくなるのだ。


たとえばムンス島の親水公園。その施設には電気がちゃんと供給される。そのため、周辺住民は電気も、水も来ず、トイレも使えなくなる。施設は一部のお金のある人たちの遊ぶ場所なのだ。周辺の27万人、かつては1日4時間電気が通じたのに、今では1日に1時間になってしまった。住民の不満がたまっていく。


金正恩の建設事業は衝動的に始まる。平壌市内を車で移動中、工業大学の近くに差し掛かると突然、寄宿舎を作ろう、教員用の共同住宅を作ろう、などと言い出す。10月10日までに作れ(6か月しかない)。1,800世帯用。同行の幹部に、おまえが責任者だ、などといきなり言い出す。資材も資金もないのにと幹部は頭をかかえる。しかし背くと殺される。教員用の高層住宅。20数階建てがこうして作られる。エレベーター用の電気も必要。こうして周辺住民には電気が行かなくなる。


金正日の時代に作ったトウモロコシ畑。それを思いつきで潰させる。草を植えて牛を放牧しようと言い出す。人民に牛乳と肉を、というわけだ。しかし、北朝鮮は非常に寒いところ。寒い冬にはスイスなどでもそうだが、小屋に入れて干し草を与えなくてはならない。そこで倉庫を作るが電気がないので暖められず、牛は育たない。まずいことに金正恩、建設事業では完成後の現地視察を欠かさない。下手をすると銃殺だ。そこで他から牛を連れてきて、牛がちゃんと育っていますよと騙し、満足させて帰す。他にも似たような事例、多数。


家畜ではなく人でも似たような事例がある。瘠せ細って貧相な軍人たちがこれまた貧相な家に住んでいる地区があった。そこでまたまた金正恩の建設命令。完成後の視察では、他所から体格のいい軍人を集めたのだった。「これぞ人民軍の兵士」と金正恩はご満悦であった。言われたことをすぐ実行に移す、として責任者には昇格のご褒美。


3)これまで5年の金正恩の統治


張成沢は殺された。金日成も金正日も殺さなかった張成沢。本人も自分は殺されないだろうと公言していたという。太永浩駐英北朝鮮公使が亡命したが(2016年8月)、彼に会って最初に聞いたのが「張成沢が殺されると思った?」。「夢にも思わなかった」と太永浩。


張成沢が殺されてから2日間、3日間、北朝鮮の人たちは仕事が手につかなかった。大変な衝撃だった。我が国にまだ反革命分子がいたのか!金正日の妹の夫が反革命分子というのか!その金敬姫はこれからどうなる?


北の人民は理解した。張成沢、李龍河、張秀吉といった有力な幹部すら処刑される。金正恩は誰でも殺すんだな、と。こうして、これからは金正恩の前にへいつくばるしかないことが分かった。こうして金正恩体制が確立した。


しかし、人々の内心は別。金正日の時は、幹部たちとは金正日も「同じ船。私が死ぬ時は共に死ぬ」という運命共同船の思想だった。しかし今、指導者の乗った船は東に向かっても、自分たちの乗った船は西へ、というのが海外にいる党幹部の精神状態。運命共同船の理論はくずれた。海外にいるエリートたちは、張成沢らの処刑で、国に未来はないと思った。何か異常な兆候があったら逃げ出そう、と。


海外に赴任している外交官らは仕事が早くひけるとネットカフェに入りびたり検索をかける。金正男、亡命した太永浩などの名前を入れる。あるいは脱北した人たち、先に逃げたひとたちの名前。生きているのか?どんな生活をしている?知りたいのだ。自分(高)がソウルでどんな話をしているか、講演の題目すら把握している。自分の新聞への投稿やコラムも読んでいる。自分はそんな彼らに講演やコラムでいろいろ手がかりを与えている。


1995-99年の「苦難の行軍」時代に党が助けにならないことを人民は知った。党を信じていた人たちは餓死し、物を売っていた人たちが生き延びた。だから党や首領さまを信じるのではなく、ドルや元を信じる。そのような拝金主義が蔓延した。


北朝鮮のことは一党(イルダン)独裁と理解されているが、これは正しくない。正しくは二党(ヤンダン)制なのだ。労働党(ノドダン)と闇市場(チャンマダン)。(「ダン」にかけた駄洒落)。いま人民の生活の7割はチャンマダン(闇市場)に依存している。市場で物を売ってお金を稼ぐのが権力者の家の女たちの仕事。地域の党、軍、行政の位の高い人たちの妻や娘、姪などがドルや元を稼ぎ、そこから国、党に上納もし、自分たちで使ったり、貯めたりしている。警察も下手に手を出せない。下手に取り締まると、別の土地に飛ばされたりする。


いま人民は韓流ドラマにはまっている。公務員など中国に出張すると夜を徹してビデオに見入っている。北で見られないドラマなどを。自分は忙しくてそのようなものは見る暇がない。北朝鮮の人たちのほうがよほど詳しい。

金正日とミサイル.jpg


4)核兵器・ミサイルの開発


自分は外交官だったが、1991年に韓国に亡命した。金正日と変わらず、金正恩も核開発、ミサイル開発に対する意気込みは確固たるもの。韓国の専門家らは「アメリカとの対話、直接交渉が目的」と言っていた。自分の警告を受け入れなかったのだ。今はもうそのようなことを言う専門家はひとりもいなくなったが。


北朝鮮が核・ミサイル開発に力を入れるのは、北朝鮮にとって一番大切なことのため。すなわち、体制の維持と強化。いつアメリカや韓国から攻撃されるか分からない、だから核兵器が必要、そう考えている。北朝鮮メディアもはっきり伝えている。イラク、リビア、ユーゴ、アフガニスタン、いずれも核がなかったからアメリカの思うがままにされたのだ、私たちには核がある、だからアメリカも手出しできない、と。


韓国の姜錫柱外相など北はお金が欲しいから核兵器にしがみつくなどと言っていたが、まさか!である。お前らいい加減迷妄から覚めろ!と言いたい。金正恩の頭をかち割れば、脳みその片側半分は核兵器とミサイル、もう片側半分は建設事業と恐怖政治。これらがぐるぐる頭の中を巡っている。核・ミサイルの開発で体制の維持・強化という確固たる意思は揺るぎない。それに刃向かう人民は殺す。中国、アメリカ、韓国が何を言おうがこの道しかないのだ。


しかし政権幹部、党や政府や軍のエリートたちも意識が急速に変わりつつある。新しい世代はエリートも人民も意識は変わってきている。幹部の心得は、表向きはとにかく党がいうことに従おう、ということ。住民は、市場さえ回っていれば、上が何をしようが関係ない。家族を守るために必要なのはお金なのだ。こうして不正、腐敗が蔓延する。これが北朝鮮を大きく変えていくだろう。


例えば外務省での例を言うと、大使任命の申請書類を党中央に上げてもなかなか決定は下されない。お金を添えていなかったからだ。白い封筒に100元紙幣30枚、50枚でも入れていれば、部長(大臣)は30分で処理してくれる。地位の売買が起きているのだ。


不正・腐敗、面従腹背、拝金主義。これらが下から上への圧力となりつつある。

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北京に出張してくる北朝鮮の高官たちにも意識の変化がうかがえる。金日成は首領さま、金正日は将軍さま、金正恩は元帥さまと呼ばれるわけだが、いまの高官たちは、金正恩のことを「あの人」とか「若い人」「あいつ」「若造」などと呼んでいる。保衛部の監視もあるので「若い人」とは何だ!ということにもなるが、あ、それは別の人のことです、などと言い逃れをしている。こういう意識の変化も下から上への圧力となる。


北朝鮮の「温度」は今どれくらい?と聞かれ、97度、98度、99度と言っている。100度で沸騰だ。熱くなってきている。


今、情勢が非常に緊迫しているのは、北が6回目の核実験前夜ではないかとされるからだ。中国はTHAADをめぐって韓国に反発(北へ圧力加えるべきなのに)。アメリカは空母を半島近海に派遣。


しかし問題の根源は北朝鮮である。そして問題を容易に解決する道が実はあるのだ。北朝鮮に誰か勇気ある人が出て来ればいい。自分も死ぬ覚悟で金正恩を撃てばいい。核問題、ミサイル問題、などなど、一気に解決しよう。


日中も韓国もアメリカ・トランプもみんな頭を痛めている。1984年生まれだから33歳のこの「若造」のおかげで。たった一人のために中国の13億人、日本の1億2,000万人、韓国の5,000万人、アメリカの3億人が頭を痛めているのだ。皆さんでもいい。だれか観光客となって決行してくれないか。

IMG_8096.JPG 誰か


高英煥(コ・ヨンファン)氏。63歳。2017.4.22.

このあと質疑応答。メモは、講演部分の倍はある。忘れないうちに追記したいと思うが、
再録はひとまずここまで。
メモはほぼ全ての情報を残しているが、時間がたつと解読できなくなる。
これまでこのブログで、この続きは後日、などと書いたまま、そのまま宿題し忘れている記事もいくつかあると思う。そうならないようにしなくては。

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「ブログ更新しました♪」
 今日のブログ更新

おや、トランプのほうが重心を移してる

悪趣味な握手見な 権力者たちの力関係がのぞく


IMG_8126.JPG Halltoons.com/Ed Hallより

超えてはならない一線としてトランプが金正恩に突きつけた「赤線」、核実験と大陸間弾道弾ICBMの実験。
金正恩は緊張高まる健軍85周年の25日、砲撃訓練でその一線内に踏みとどまった。

高氏の話では、これ以降、秋まで北朝鮮は国を挙げての祝日がない。
5月始めに韓国で大統領選挙はあるものの、しばらく情勢は安定するのか。
その間、中国がどうでるのか。裏口を閉じて経済制裁が強化されれば、北朝鮮内の圧力釜が沸点に近づかないか。高氏の言った一気に解決する事態が来ぬとも限らない。

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