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欲の果ての旅「規則は誰が作っているのか」TPP 騙しの手口  [グローバル化]

欲の果ての旅

それにしてもTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)というのはひどい。
企業の傲慢強欲の行き着いた果てだ。

今回アメリカから見えたジョモ・スンダラム氏(マレーシア人)は今年始めに出たタフツ大学の研究の共同執筆者。30日がパルク(アジア太平洋資料センター)主催の講演会、31日がTPP阻止国民会議による院内集会だった。

ジョモ氏のことばを聞いていると、TPPの本質がよく見えて来る気がする。

要するに「腐敗している」「腐っている」(corrupt)システムということ。
腐敗した企業至上主義ということだな、これは。資本主義とグローバリズムの行き着いた、民主主義もへったくれもない、欲の果てだ。

JOMO.jpgジョモ・クワメ・スンダラム

そしてTPPは6,300ページもある膨大で意図的に分かりにくい曖昧な法律文書。

「唯一曖昧でない点は、それが曖昧であるということだ」

とジョモ氏の冗談。

<悪魔は細部に宿る>

という英語の格言も引用されたが、私なぞはどうしても、悪魔はアメリカに宿る、アメリカの企業と投資銀行と政府に宿る、と言いたくなってしまう。その悪魔にそそのかされてしまったのが日本。というか日本の大企業と安倍政権だ。

膨大な曖昧法律文書を書いているのは多国籍企業であり、そのロビイストであり、何百人という法律の専門家らだ。あちこちに悪魔が潜み、爆弾が仕掛けられているに違いないとのら猫は思う。以下、ジョモ氏の講演と研究要旨より(【】括弧内はのら猫独白)。

「TPPの経済効果を大げさに伝える宣伝工作が行われている」

↓ ↓ ↓ ↓ ↓


●推進派の楽観的な予測
基となっているのはワシントンのピーターソン国際経済研究所の予測。
多くの国で加盟だ、批准だと、TPP推進のために引用されてきた。
最新版が2016年の頭に発表され、世銀の最新報告書にも取り入れられた。
(アメリカの国民所得は2030年までに1,310億ドル増える(GDPの0.5%))
輸出を91%押し上げるとする。
しかし、根拠なき想定。とくに完全雇用を想定するのはおかしい。
雇用は失われても再就職を想定している。
雇用が失われることとその調整コストを無視している。
賃金や国民所得のシェアは変らないと想定。ここも実証的根拠がない。
過去の貿易協定では勤労者の所得シェアが減少している。

さらにピーターソン研究所の推計では対外直接投資が大きく増えると想定。それによって経済成長を押し上げるというのだ。アメリカの場合、成長分の25%を占めるとされている。資本家の収入は再投資され、広範な成長をもたらすとされているが、いずれも根拠がない。農務省の研究ではそのような対外直接投資の伸びは想定しておらず、アメリカはゼロ成長、その他の国はごくわずかな成長というのがせいぜいのところ。

ピーターソン研究所の方法論に欠陥がある。従って、成長と所得の伸びが誇張されている。コストが過小評価され、無視され、あるいは利益とさえ見なされている。本当は雇用が失われ、勤労者の収入は横ばいないし低下し、内需を押し下げ、成長を鈍化させるのだが、そのことが勘案されていない。

●米政府機関やTPP推進派の研究所の試算は人を欺くプロパガンダ

応用一般均衡モデル(CGE)による推計なのだが静的なモデルであり、想定にいろいろ問題がある。完全雇用を前提とし、雇用減少のコストなどを過小評価。全ての加盟国で完全雇用とか、経常収支に変化なしとか、勤労者の収入に影響なし、等々、ありえない想定をしている。コストを無視したり、利益として提示したり。TPP経済効果を誇張している。喧伝されている成長を裏付ける理論もなければ実証的根拠もなし。

●それでも極めてわずかな成長の伸び
政府寄りでTPPの旗振り役とも言えるピーターソン国際経済研究所の試算でも
TPP12カ国のGDPを15年で1.1%押上げるのみ。年0.06%!
アメリカは0.5%。
唯一大きいベトナムは13%。これまで排除されて来た歴史的な事情がある。

一度切りの利益がドーンと来る想定(静的)モデル分析。
得をするのは巨大多国籍企業。他の人たちは損をする。よって格差が拡大。

成長への寄与、10年で0.1%の押上げ効果などと試算されているのに
日本政府のいう2.6%は驚き。そのような試算をしているところは他にない。
その根拠は?どのセクターから成長が来るというのか?
雇用が80万創出されると日本政府が言うのも衝撃的!
関税撤廃で輸出が伸びるというが輸入だって伸びるのだ。

●TPPの主眼、自由貿易にあらず
TPP、自由貿易、自由貿易というが、TPPは貿易以外の部分が大半。
見込まれている成長の伸びの84%が非貿易措置NTMsによる。

ジョモ氏が共同執筆者のタフツ大の試算

使ったのは国連のGPM(マクロ経済グローバル政策モデル)。動的モデル。
そのもっとも楽観的な予測でも雇用が多くの国で失われる
●より現実的(経済の調整コストや所得の分配に関して)
●対外直接投資が急激に伸びるといった根拠なき主張なし。
 貿易以外の措置で大きく成長を押し上げるといった予測なし。
●雇用は加盟国全体で約77万減少。アメリカだけでおよそ45万の減少 (2015-2025)。
●勤労者の購買力が低下、内需を押し下げ、成長は鈍化。格差が拡大
●GDPはTPPでアメリカがマイナス0.54%、日本がマイナス0.12% (2015-2025)。
●貿易による成長への寄与ほとんどない。 (経済成長は10年で途上国は3%未満。先進国は1%未満)

●自由化、自由化というが、すでに物の貿易はすでに自由化が進んでいる。 

TPPの主眼は巨大な多国籍企業(アメリカ企業)に有利になるように規則を書き換え、それを押し付けるということ

●投資家の権利や企業の知的所有権を強化(医薬品メーカー、IT、メディア)。
国の規制を(たとえば金融サービスに関し)弱めるということ。
●外国人投資家の権利を強化。自国企業や公益を犠牲にする(ISDS)。
●外国人投資家の権利が拡大することにより途上国には特に大きなコスト。
開発を促進したり国益を守ることに及び腰となる。萎縮効果。
●楽観論を疑うのは当然。批准すべきではない。

米国農務省経済調査局でさえ成長は0.1%という推計。タフツ大はマイナス。
その一方で規則を多国籍企業のために書き換えた弊害が長期的に現われる。
医薬品の特許期間を延ばし、ジェネリック医薬品を排除するなど、
製薬会社、メディア、IT企業などの知的所有権を強める。
その結果、医薬品価格が上昇。国民は高価な医薬品による治療を受けられなくなる。

●TPPは自由貿易というより管理貿易。多国籍企業のために貿易を管理。
●WTOの多角的貿易体制を弱めるもの。
●農業を保護し、食料の安全保障を弱める側面も。
●外国企業の利益/投資家の利益を何よりもいちばん大切にする。
 国益、公共の利益、国民の健康や環境よりも。
●各国は国益や公共の利益に反してまでもTPPに従わなくてはならない。
●規則は企業が作る(企業とそのロビイストと彼らの意向をうけた政治家たちが作る)。

ISDS(投資家対国家の紛争解決)

国が国民の健康や安全、環境を守る措置を採っても、企業の利益を阻害した
として企業から訴えられるのがISDSだ。そして国は巨額の賠償を支払わされる。

【なんでそんなことに!? わけ分からん!
 それこそ < カフカ! > だ。
 また言ってしまった】

【外国企業の利益や外国人投資家の権利が最優先。国の主権より上という不条理】

これによって企業の利益が国の主権より上に来るようになる。
国民の安全や健康を守り環境を守ろうとする国より
企業のうべかりし利益のほうが大切ということだ。
国の行政・立法・司法の上に来る多国籍企業(それは主にアメリカの企業)。
アジアの企業は、提訴はあまりしない。
欧州では「アメリカは欧州の裁判所を信用しないのか!馬鹿にするな!」
とISDSへの反発が強い(米と欧州で交渉中のTTIP環大西洋貿易投資連携協定)。

外国投資家を保護。そちらが政府の国民保護より上。その規定はあいまい。
提訴の前に国内の法廷で争う義務なし。
企業や外国人投資家が国を訴えるのであって、政府は企業を提訴できない。
政府が訴えられ、巨額の賠償金を支払わされる。上限なし。
控訴なし。

ISDSでアメリカの企業が負けたことはない

判断を下すISDSの紛争解決パネルは3人の弁護士で構成。企業の影響力が強い
(1人は企業の指名。もう1名も企業の同意が必要)。
犬は飼い主の手はかまない。TPPは弁護士を太らすだけ。
世界にISDSの判事/弁護人の務まる弁護士は200人くらい。
弁護人を務めたあと判事役になったり、利益相反も。

インドはボパールの事故。殺虫剤工場から毒ガスが流出。25万人が死亡。
アメリカのユニオン・カーバイド社は責任を問われず。

提訴件数、爆発的な増加。賠償金、うなぎ登り。
巨大企業や大富豪が巨額の賠償金を手にしている。

オーストラリアのタバコだけは例外扱い(オーストラリア最高裁)。
フィリップ・モリス社はタバコの箱に健康への害を明記させた豪州政府を訴えた。
会社が得べかりし利益を得られなかったと賠償を求めたのだがオーストラリアの連邦裁判所が政府の措置を支持。

エクアドルのコレア大統領が国立公園内での石油採掘を禁じたら
アメリカの石油会社から訴えられ【これあひどい】
20億ドルの賠償。まだ半分しか払えていない。

規制を萎縮させる効果。政府はISDSを恐れ、規制に及び腰となる。
WHOに発がん性を認められた除草剤。マレーシアではいちばんの人気商品。
しかし、禁止すると、メーカーの利益を阻害したとして政府がメーカーに訴えられる恐れがある。
負ければ犠牲者の治療コストと企業利益への賠償コストの二重の苦しみ。

ISDS連勝記録更新中

ISDSでアメリカの企業は外国政府を相手に連戦連勝。負けたためしがない。
アメリカ政府の関係者もこの余りもの「成功」に自分たちでも驚いているのだとか。
負けを覚悟した、自分たちの論拠の弱い、勝ち目のなさそうな事例もあったが、
それでも勝っちゃったと。内輪ではそんな話もしているらしい。

【無敗。むはは。こんな無体なことを押し付けられる。政府与党は、TPP文書の細部も議論せず、
法務大臣が無残にもISDSと国内裁判所の関係を国会できちんと説明できないまま、
通そうとしている。ごり押しだ。このまま押し切ろうというのだ。
一時は「ブレない。断固反対」なんて言っていたくせに!

なんでこんなとんでもないことになってしまうのか

諸悪の根源はカネ。強欲。
企業や銀行の強欲が政治を金で買い、政治が国を国民を企業に売り渡している
ということ。それがジョモ氏の言うcorrupt(腐っている)ということなのだ。】

【ISDSというのは国の司法をも上回る law of the jungle (密林の掟=弱肉強食)ということだな。
フィリップ・モリスの要求をはねのける判決を下した豪州の最高裁がこれまで唯一の希望の光だが。
日本政府なぞTPPでアメリカというトラの威をかるキツネあたりがせいぜいの役回りじゃないのか。
しかしその密林もやがて焼け野が原になって国民は丸裸にされるのではないか。】

TPP、規則の書き換え

< 汚染する者が払う> という原則(PPP)から、いつの間にか
< 汚染する者に賠償を払う> ということにすり変えられようとしている。
WTOが完璧とは言わないが
TPPのような多国的plurilateralな枠組みから
WTOのような多角的multilateralな枠組みに戻さなくては。

試算は「自由貿易」推進派やアメリカ政府もこれまで外しっぱなし。
NAFTAのときも、中国のWTO加盟のときも、KORUS米韓自由貿易協定の時も外れた。
TPPでもまたその繰り返しだ。

【12カ国が調印はしたが、議会による批准がまだ終わらない。
安倍政権は秋に通すとワシントンでアメリカ政府関係者に約束してしまっている!】

こんなものを通してはならない。しかし連邦議会は年内に批准しそうな雲行き。国民の間に反対は根強いのに。

国民が支持しているのはベトナムだけ。残りの国々では国民は反対している。
ニュージーランドでは活発な反TPPの市民運動が展開されている。

オバマは、年初の演説でこう言った。

「アジア太平洋の貿易のルールを決めるのは中国ではない。我々だ(=アメリカだ)」

TPPはアメリカ主導で中国に対抗するというものでもある。

【この「我々だ」は、「アメリカ企業だ」と読むのが正解だろう】 

【それにしてもTPPはひどい。
企業の傲慢強欲の行き着く果てだ。

ジョモ氏もcorrupt(腐敗した、腐った)というい言葉を使ったが
要するに「腐敗した」システムということ。
腐敗した企業至上主義ということだと思う。


国民の健康を安全を守り環境を守ろうという国の主権より何より

多国籍企業(アメリカ企業)の利益と投資家の権利が上にくる。。


何故それが可能?
政治が企業や投資家の金で買われているから。

裁定機関が彼らの犬の巣窟だから。

そう。すべてが腐っているのだ。

これは、資本主義とグローバリズムの行き着いた、
民主主義もへったくれもない、強欲の果てだ。

そんなTPPを日本ははねのけられるのか。
それはまず当面は安倍政権の横暴の継続を
国民がこのままずるずると許し続けるかどうかにかかっている。


ジョモ・スンダラム
マレーシア出身。イェ—ル大、ハーバード大卒業。
タフツ大学グローバル開発環境研究所のTPP影響試算報告共同執筆者。
以前は国連やFAOの経済社会局経済開発部事務局次長だった。
ワシリー・レオンチェフ賞受賞。

1952年生まれ。のら猫と同じ歳とは。
辰年は目出たいけど、60年に一度の ”black water dragon” だから
なおのこといいのだと潘基文事務総長から言われたとジョモ氏だったが黒水龍?
なんじゃらほい?
ブラック・ウォーターと聞いて最初、例の悪名高い民間の軍事請け負い会社かと思ったよ。

「ルールを決めるのは我々だ」と今年の一般教書演説で見栄を切ったオバマだが、「我々」とは言え、それは実質的にはアメリカ企業ということだ。オバマも結局のところは企業の利益に仕えるアメリカの大統領。企業が書いた規則をアジア太平洋に押し付けようとしている。

 
 
国境なき通訳団でなんとか通訳をやり終えた。国際会議場でやるものと早合点しており
ジョモ氏の前に置いた送信機のマイクが唯一の頼り。
日本語発言は天井の拡声器(ラウドスピーカー)からの音を聞いての同時通訳だったので

  今日もお読みくださり、ありがとうございました。

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