日本よサラワクからの木材の輸入を止めよ森のあるうち [環境]
日本とオーストラリアの環境NGO
Markets for Change(豪)と熱帯林行動ネットワークJATAN(日)が
違法伐採に歯止めのかからないマレーシア・サラワク州からの木材の輸入停止を求めた(3月28日)。
合法性を確保する仕組みがきちんと出来上がるまでの措置として
日本はサラワクからの木材輸入を停止すべきである。
サラワクは非常に極端な例である。
そして緊急に手を打たねばならないケース。おそらく世界最悪の場所。
欧・米・豪と違って日本は大量にサラワクから木材を輸入している。
サラワク材が違法材である要因:
1)環境破壊
2)人権侵害
1)現地政府の非常に低劣な環境基準のもと甚だしい環境破壊が進んでいる。
世界有数の生物多様性の豊かな森林の喪失(絶滅危惧種)(*1)。
気候の変動への影響大(森林の役割/泥炭地)。
マレーシア・サラワク州のあるボルネオ島は
地上有数の生物多様性の宝庫である。
そこで自然林の伐採と大規模なプランテーション化が進んでいる
(原生林は10%を切った。5%くらいかも)(*2)。
その過程で泥炭地(大量の炭素を地中に含む)が切り開かれ(*3)、
二酸化炭素が大量に放出され、気候の変動に重大な影響を及ぼす。
2)先住民への人権侵害。
伝統的な生活、文化、アイデンティティを奪う(*4)。
サラワク州政府は裁判に訴えられ、敗訴しているものもあるが、
裁判所の命令に従っていない。
依然として先住民の土地に対し伐採権を企業に認め続けている。
以上のような観点からサラワク由来の木材は違法である。
しかしそれを許しているのは:
日本に意味ある法的な規制がないからであり
サラワクに根深い腐敗・汚職の構造があるから
(当局者と業者の癒着、書類の偽造、など)である。
こうしてサラワクは非常に極端な例となっているのである。
サラワクから日本に向かう合板の量はものすごい。
コンクリートの型枠としても使われるが、住宅やマンションの床材(いわゆるフローリング材)として多用されている。
日本の合板輸入に占めるサラワク材の比率は49%。
サラワクに占める日本の比重も高い(サラワク合板輸出の55%は日本へ)
以上が記者会見の要約だが追記しておく:日本の「グリーン購入法」の無力
違法木材に関し欧米では厳しい法律ができている一方、日本には努力目標を宣言したくらいの制度しかない。
アメリカ「レイシー改正法」、EUTR「EU木材規則」、豪州違法伐採禁止法。
現地の仕入れ先にまでさかのぼって合法性を証明する義務がある(現地企業・当局の情報を鵜呑みにするだけでない「デューディリジェンス」の義務)。
違反すれば莫大な罰金、禁固刑(去年は米国広葉樹製床材最大手が罰金1,000万ドル)。
日本の「グリーン購入法」は、国や地方公共団体など公的機関のみが対象(全体のわずか5%)。
しかも、環境面に配慮して購入しましょうね、という努力目標を謳っただけ。罰則無し。
私は4半世紀前にボルネオの先住民ダヤク族の指導者が来日したときのセミナーを思い出す。
当時は同行したインドネシアの活動家や学者が偽名を使っていた。
政府から弾圧され、身辺に危険の及ぶ恐れもあるからだ。
今の人たちは実名のようだが、活動家らの顔ぶれは日本国内でもすっかり世代交替が見られる。
団長もそろそろかのーと断腸の思い。
実は日本でもいま違法木材対策をと議員たちが複数の党から案を出し合いながら議論をしている。
どんな法律ができるのか、注目である、
と思っていたら
4月26日、衆議院農林水産委員会で「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律案」が可決。
4月24日付けの日経新聞社説(*5)でも取り上げられている。
しかし、「強制力はない」に愕然。
結局、努力目標を掲げるだけなのか。これではグリーン購入法が民間に拡大するだけの話だ。
*1)ゴムの木の林の中で泣いている カリマンタンの オランウータン 見つかりまんたん
*2)同上
*3)同上
*4)同上
*5)違法木材に実効性ある規制を 2016/4/24 3:30
私が大学生のときからサラワクの熱帯林破壊の問題は問われていました。
今なお、全然変わらないのか。
むしろ以前より増えているのか。
なぜ法律を作っても強制力のない、紳士協定みたいなものになってしまうのか。
日本って、後進国だ。
滅びつつある動物たちの悲鳴が聞こえます。
日本にもいっぱい間伐材などあるんだけど、ああいうものを工夫して使えないのでしょうか?
by ネロラ (2016-04-28 08:13)