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パレスチナ 暴力の新しい局面 [パレスチナ]

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フォト・ジャーナリストを装ったパレスチナ人が人を刺そうとするところをイスラエル軍の兵士に射殺される
16日ヘブロン(写真:Reuters)

土曜日はエルサレムで1件、西岸地区で4件の刃物による殺傷事件。今回の事態、3週間で、終わりはまだ見えてこない。

イスラエル・ハアレツ紙の記事 (10月18日)要約:

日によって事件の増減はある。デモの規模はここ数日小さくなっている。それでも、収まりつつあるという兆しもなければ、これからまた増えるかどうかもはっきりしない。

だから、1987年と2000年に始まった第一次、第二次インティファーダの1ヶ月目に比べれば穏やかであり、デモや事件に関わるパレスチナ人の数ははるかに少ないのであるが(*1)、新しい状況でもある。刺殺事件を起こしているのは大多数が東エルサレム(*2)の住人なのである。

1日に2人から5人のパレスチナ人の若者が刃物を手に人を襲う。その場で銃殺される(*3)可能性が高いことを承知の上。町中やバスなどに不安が漂い、警察や軍が動員されている。

第二次インティファーダ(2000年〜2005年)のときは銃や自爆だった。実行犯が死ぬつもりでやっていることにおいて変わりはない。今後の注目点は、武装組織(*4)が関わってくるかどうか、銃器が用いられるようになるかどうか。

イスラエル人の死者7人に対してパレスチナ人の死者は39人。今回も犠牲者の数が偏っている。その偏りでパレスチナ人はさらに怒りを募らせる。もっと殺せという気持ちに駆り立てられるのだ。

パレスチナ側は、襲撃犯と誤認されて無実の人が殺された例がいくつかあると主張し、アメリカ国務省も、イスラエル側に過度の武力の行使があったと伝えられるとしてイスラエルを批判した(*5)。

イスラエル軍では今後も刃物による襲撃事件は続くと見ている。しかしパレスチナ人たちもイスラエルに仕事には行くだろう。ただ、イスラエル人の死傷者が増えるようだと政治的な雰囲気も過激なものとなり、当局の決断に影響があるかもしれない(*6)。

アモス・ハレル 


以下注釈を付けておくと:

*1:前回が数万人規模だとすると、今回は数百人。
*2:エルサレム旧市街、ユダヤ教にとっては神殿の丘(イスラム教徒にとってはハラム・アル・シャリフ)という聖地(キリストの聖墳墓教会もある)。住民はそれぞれの地区に別れているが、イスラム教徒住民は、ユダヤ人がイスラム教徒地区までぜんぶを自分たちのものにしてしまおうとしているという恐れを抱いている(エルサレムのユダヤ化)。特にハラム・アル・シャリフを全部(=神殿の丘の「現状」の変更)。ネタニヤフ首相はそれはウソであり、あくまで現状維持と主張。パレスチナ自治政府のアッバス議長らが実際にそのようなウソを広めるプロパガンダを行なっていると非難している。
*3:超法規的な殺害。
*4:ガザ地区を実効支配するハマス(イスラム抵抗運動)には軍事部門があるが、ハマスのハニヤ元首相は、「インティファーダが復活した。我々も加わる」と語った。
*5:「イスラエルは過度の武力行使」としたアメリカ国務省に対してイスラエルは激怒、国務省では「そのように伝えられた」と訂正、「入植地の建設が継続している」と言及したことも、パレスチナの暴力の直接的原因として指摘したのではないと釈明した。
*6:強硬な措置に出すぎるとかえってパレスチナ人の暴力的な事態が拡大しかねない。

 

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