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いまインティファーダの入り口 パレスチナ [パレスチナ]

エルサレムのユダヤ化を進め、パレスチナ人をじわじわ追い出して行くイスラエル。ヨルダン川西岸地区では国際法違反のユダヤ人入植地の建設を国際社会の非難を無視して継続。パレスチナ人から土地と生活と尊厳を奪い、追いつめて行く西岸地区のアパルトヘイト化。住民と抑圧者間の緊張。その緊張はなんらかのきっかけでいつ爆発しておおかしくない。そして今、爆発しかけている。

 

West Bank 201510.jpg

 

West Bank 201510_2.jpg

 

去年私が訪れた11月の始めも緊張していた東エルサレム。ちょっとしたきっかけで暴力が広がりかねないとは感じていた。ことしはユダヤ新年祭ロシュ・ハシャナーを迎える9月半ばあたりからイスラエルの治安部隊とパレスチナ人の衝突がイエルサレム旧市街で起きた。それがやがて西岸地区の各地にも広がって行った。その後、パレスチナ人女性がイスラエル軍により殺されたり、イスラエル人がパレスチナ人により殺される事件が起き、10月になるとパレスチナ人がイスラエル人をナイフで殺傷する事件が相次いでいる。

 

イスラエルはいつもながら行政勾留(容疑者を司法手続きなしに逮捕)、容疑者の住宅破壊で対応。これにパレスチナ人は抗議しイスラエル軍に投石。すわ第三次インティファーダ(住民蜂起)か?だが、インティファーダ(1987年/2000年)のときの死者は数千人。まだそこまでの事態ではない。

Three weeks of unrest in Jerusalem, West Bank

 

しかし第三次インティファーダの入口かもしれない。イスラエル兵の暴行。寄ってたかって足で蹴っている。よく見るとパレスチナ人のように見せかけてジーパンにTシャツ姿なのに、実は逮捕する側の男たちがいる。私服部隊というかおとりというか。イスラエル治安部隊の隠密部門(スパイ)でArabistsと呼ばれる(*)。


頭部を損傷しているのなら動かしてはいけない。こんな運び方はまずい。

 

*:「アラビスト」(ヘブライ語でミスタラヴィム)mistaravim 

アラブ人に変装したユダヤ人暗殺部隊で、1930年代のユダヤ人武装組織「ハガナー」に遡る(ラビンもシャロンも元々はハガナー)。パレスチナ人に対する情報活動・暗殺活動に従事。建国後イスラエルの情報機関に吸収されたが

第一次インティファーダ1987年で活動再開。ガザ地区の部門と西岸地区の部門がある。

その後第二次インティファーダを経て10数年の間に400人あまりのパレスチナ人を殺した

という推計(ガッサン・ダアル『ミスタラヴィム:イスラエルの暗殺部隊』2005)もある。

 

لحظة هجوم المستعربين على الشبان الفلسطينين في المواجهات التي اندلعت على المدخل الشمالي لمدينة البيرة

Posted by ‎Ramallah City | مدينة رام الله‎ on 2015年10月7日

 

これもイスラエル軍の私服のおとり部隊がパレスチナ人の若者をなぐる蹴るの暴行。拳銃を発砲の末、引きずっていく。

 

تفاصيل جديدة لهجوم المستعربين على الشبان الفلسطينين في المواجهات التي دارت شمال مدينة البيرة

Posted by ‎Ramallah City | مدينة رام الله‎ on 2015年10月7日

 

イスラエル軍との衝突でパレスチナ人数十人負傷 西岸地区

ラマラ、ベツレヘム、ナブルス、エリコ

いずれもちょうど1年前私が訪れた町だ

寛兵衛 聖地をゆく 2

寛兵衛 聖地をゆく 1

 

 

収拾しつつあるというがいつまでもつか

この日もパレスチナ人がナイフでユダヤ人を殺傷する事件が数件起きている

Dozens of Palestinian Casualties Reported in West Bank Clashes With Israeli Forces

 

イスラエルの対応:暴力には一層の暴力で

ハアレツ紙の記事によると:

3週間でイスラエル人の死者4人。パレスチナ人の暴動は広がり、エルサレムも西岸地区も不穏な情勢。気の早いタブロイド紙や学者、政治家は第3インティファーダだと言っているが。インティファーダと言うほどの規模ではない。

しかし問題は、どう収拾させるか誰にも名案がないこと。政治家たちは馬鹿の一つ覚えのように「テロには厳しく対処しろ」、強硬に暴力的に対処しろ.と息巻くが、そもそもそれはこのような不穏な事態を招く原因でもある。

しかしネタニヤフ首相も馬鹿の一つ覚えのように今回も行政勾留(裁判手続きなしの逮捕)と容疑者の住宅の破壊で応じる。それらの措置に抑止効果はなく、逆に逆効果であることをイスラエル軍自ら認めているのにである。

右派は相も変わらず西岸地区とガザに対する軍事作戦でテロを撲滅せよと言う。これまた、これまで何度も失敗に終わっているのにである。

ネタニヤフの対応を批判する左派も、対案、具体策があるわけではない。

狂気とは同じことを何度も何度も繰り返して違う結果を期待することである、と格言に言う。イスラエルは万策尽きた。

 

この20年、イスラエルは二つのアプローチを試みた。まず交渉(その代表がオスロ合意)。そして一方的な措置(シャロンのガザ撤退)。いずれもどこまでイスラエルが誠実だったか疑問は残るが、結果はいずれも同じだった。暴力は続き、国民は失望する。

Israel’s Answer to the Violence: More, Better Violence


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