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プーチン「新有志連合」を提案?! 「国連軍」?! [中東]

< アサドと組もう「スターリンと組まざるを得なかった」ように >


        ~ヴェドリン元フランス外相


Védrine veut s'allier à Assad contre Daech, comme «il a fallu s'allier avec Staline»


ヒットラーと戦うためにスターリンと組んだように、ISと戦うためにアサドとも組まざるをえないというのである。


IS「イスラム国」をヒットラーになぞらえている。社会党のジョスパン政権で外相をつとめたユベール・ヴェドリンのこの発言は今週月曜日。折しもニューヨークではロシアのプーチン大統領が10年ぶりに国連総会の演壇に立った。


国連軍誕生か?!

 

プーチンは演説でISと戦うために国連憲章に基づく多国籍軍をと提唱!

 

そしてアサドを敵とするのではなく、アサドと共にISをつぶそうと言うのだ。

 

プーチン(国連演説 9/28):

「シリア政府・シリア軍との協力を拒むのは大きな間違いです。(…)アサド大統領の軍隊とクルド人の民兵こそがイスラム国などのテロ組織と真の意味で戦っていることを私たちはそろそろ認めるべきであります」

「ヒットラーに対して連合を組んだように」「ナチスのように悪と憎しみの種を蒔く者たちに立ち向かう」

と言うのです。

「国際法に基づき」「国連憲章の原則に基づき」

 

アメリカなど欧米がこれに乗れば画期的です。国連の見果てぬ夢。冷戦時代に頓挫した夢。軍事制裁力・強制力をもつ国連軍の誕生か!

 

寝業師プーチン、このところシリア、イラン、エジプトなどなどに働きかけを強め影響力を増したかに見える。

ニューヨークに乗り込み、対IS多国籍軍を提案、突如立ち上がってオバマを背負い投げ、一本!

 

かと思いきや、オバマは組み手を拒む。ぜんぜん乗って来ない(少なくとも表向き)。

 

オバマ(国連演説 9/28):

「罪もない子供たちを樽爆弾で殺戮するアサドのような暴君」。

「これほどの流血、これほどの殺戮を経て、内戦の前の体制への回帰はありえません」

 

ロシアの差し出した手をはねのけたアメリカ

 

Putin Said to Plan Islamic State Strike With or Without U.S.

プーチンは今回の提案・妥協を事前にアメリカ側に伝えていた。

プーチンの提案する新たな多国籍軍的対応と、アメリカの主張してきたアサド退陣とを組み合わせるという妥協である。ロシア政府に近い中東専門家は「良識が勝利し、オバマがプーチンの差し出した手を握りしめることをロシアは期待している」と言ったが、一方で「そうならなくてもプーチンは行動をとる」とも言っていた。アメリカが乗ってこなくても単独で行動に移すというのである。そしてその通りになった。国連演説から2日後にロシア軍機がシリアで空爆を開始した。

 

欧米がチャンスの芽に目をつぶったのは今回が初めてではない


West 'ignored Russian offer in 2012 to have Syria's Assad step aside'

コソボやアチェの紛争で国連特使をつとめノーベル平和賞(2008)を受賞したアーティサーリ・フィンランド元大統領が先日のガーディアン紙で打ち明けている:

 

2012年2月、ロシアのチュルキン大使から非公式にアサド退陣を盛り込んだ和平の提案があったが、欧米はそれをまともに相手にしなかったというのだ。

国連安保理常任理事国の代表と非公式に協議した際のことで、提案は、シリア政府と反政府勢力とで和平協議を始めたあと、どこかの時点でアサド大統領が退陣するというもの。(提案は3点。1:反政府勢力に武器供与を行なわない、2:アサド大統領と反政府勢力の交渉を開始する、3:アサド大統領の「優雅な」退陣)。

アサドがすでに受け入れていたということではなさそうだが、少なくともそのお膳立てをロシアがする可能性があったわけだ。しかし米英仏、なかんずく米は、アサド体制の崩壊は時間の問題と確信しており、提案を無視したという。

 

なんたる誤算。これまでシリアでは25万人が殺害された。何百万人という人々が難民となって国外へ。

トルコに200万人、レバノンに120万、ヨルダンに60万、イラクに25万、エジプトに15万、そしてヨーロッパに50万。

 

プーチン案になびくヨーロッパ?

 

そんな中、プーチンの提案に沿った声も、ヨーロッパでは聞こえ始めている。

 

フランスの元外相の「スターリンと組んで」ヒットラーと戦ったようにここはアサドとも組んでまずはIS退治をという意見。これはすでに冒頭で紹介した。

 

フランスのフィガロ紙に寄せられた読者の意見はなんと93%がプーチン提案に好意的。

 

イギリスの著名なジャーナリスト・サイモン・ジェンキンズは「なぜ欧米はシリアに関しプーチンの言うことに耳を貸すべきか」と題する記事を投稿している。格好つけてる場合じゃない。体面、道義云々なんかより、とにかく殺戮を止めるという現実主義だ。国内政治の延長としての外交ではなくて、何をすべきかを論理的に考えろ、と。

 

6月にはヘンリー・キッシンジャーもロンドンの聴衆を前に「ロシアは味方」と見方を変えろと言っていた。お互いともにイスラム過激主義の敵なんだと。ロシアと欧米は文明をともにしている、と。

 

サイモン・ジェンキンズは続ける。「ロシアはイギリスが2011年から予言しているアサドの強制的な追い落としが現実的な平和への道でないことを認めた。彼が退陣すべきであれば、それは彼に敵対する勢力がすべて駆逐されたあとである」

 

まずはISを片付けろ、アサドのことはそのあとだ、というわけだ。

 

今回のオバマの国連演説もそうだったが、罪もない子供たちが云々、残虐な独裁者が云々という、自分に酔ってええかっこしいばっかりというのはそろそやめろ、中東に対して欧米はこの10年あまりずっとそうだった、

「それは大きな間違いだった。欧米にそれ以上に知恵がないのであれば、プーチンの言うことに耳を傾けるべきだ。彼にはそれがある」。

 

プーチンにあるのは知恵ばかりでなく、思惑もたっぷりあると私は思うが、それは(2)で触れる。安倍氏にも登場してもらおう。

 

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