キウイしい選択 ニュージーランドが新しい国旗を採用? [東京五輪]
今の国旗は兄貴分のオーストラリアの国旗とよく間違われる。首相が外遊すると、旗を振ってにこやかに出迎えてくれるのだが、その旗をハタと見ると、オーストラリア国旗だったりする。国際会議でもよく自分たちの席に我が物顔に陣取っている、物オージーしないオーストラリアの国旗。
最終選考に残った4案!
そもそも「イギリス」(すなわちグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国)というイングランド、ウエールズ、スコットランド、北アイルランドから成る国の国旗いわゆるユニオン・ジャックからしてときどき逆さまに掲げられてしまうややこしい、ハタ迷惑な旗なのだが(国々の連合という歴史を反映してそれぞれの旗が順次重ねあわさって出来上がったおり、左右も上下も対称ではない)。皆さんが「イギリス人」をお迎えするときに旗を掲げようと思われたら、逆さまになってしまわないようよくよく注意してかかる必要がある。ついでに言うと、イギリスの方ですか、と聞くときに、EnglishとかEnglandという言葉を使うと、むかっとされてしまう可能性がある。いや、わたしはScotishだ、だとか、Wleshだ、だとか、Irishとか、アイデンティティが違うし、お互い歴史的に確執のある微妙な間柄でもあるのである。じゃあ、それらを区別しない言い方、なんとゆーけー?と思ったら the U.K. ということだ。Britishでもいい。
いずれにせよ、そのユニオン・ジャックを左上の隅っこに置いた青地の旗ブルー・エンサインに南十字星をあしらったのが、オーストラリアとニュージーランドの国旗である。この際、その差異を再確認しておこう。
さて、このニュージーランドの国旗を新しいものに変えようという提案、その理由だが、混同されやすいことのほかに、英連邦の一員ということより独立国という点を強調したいという気持ちがあるらしい。さらに、この旗だと先住民のマオリ人の存在が無視されているということがある。近年はそれ以外の人たちも増え、急速に多民族国家になりつつあるニュージーランドだ。そのような提案は前からちらほらあるにはあった。しかし大きく盛り上がることはなかった。
国民投票にまでこぎつけた今回、提案したのはやり手の大富豪、キー首相(証券会社時代は大量解雇の大ナタに、ついたあだ名が「微笑みの暗殺者」)。キー提案のカギは、国の認知度を高め、自国産品の売り込みということらしい。英連邦からの親離れ、いち早く独自路線の国旗に変更して成功したカナダ(カエデの国旗)に習って変エデみては、ということだ。
今のところ反対が根強いようだ。この旗への愛着は捨てがたい。国旗変更のコストもある。それに、最終選考に残った4つの案もぱっとしない(どれも燃やすと栄えそうなデザイン、などという不謹慎な冗談まで聞かれる)。盛り上がらないのだ。
このうち植物の図案はシダの一種のシルバー・ファーン。これまた伝統的なニュージーランドのシンボルである。ラグビーファンならふぁあーんと思っただろう。オールブラックスの選手の胸、黒字に白くシダの葉っぱ、試合前、かけ声とともにあそこを叩いてハッパをかけている。ちなみにニュージーランド・ラグビー・ユニオンはシルバー・ファーンは自分たちのもの、手出し無用とハンドオフで突っぱね、シダを含む案には断固反対のスクラムを組んでいる。
ゼンマイのような、波のようなのもシダ。あれがシダの新芽とはそう多くの人がしんめー。マオリ族ははシダの生命力をあがめてきた。平和の象徴でもあるという。ニュージーランドは何億年も前は、オーストラリアのタスマニアとかアフリカのマダガスカル、南米、南極などとつながったゴンドワナ大陸の一部。古い動植物の種が残る。
今年11月からの第1回投票で1本に絞り、来年の決選投票で今の国旗と一騎討ちの運びだが、今の状況だと、国旗の変更はなさそうである(世論調査では変更賛成は25%〜30%)。
予選で落ちたものやインターネットで話題になった出所不明のものなどいろいろあるが、シダのほか、国鳥のキウイも人々の心をくすぐるようだ。
以下図案はNew Zealand's new flag: 18 of the best and worst designsより
羊も悪くない。
人気を集めたのがこれだという。ほんとかね?!
国の足跡?
うーん。好きだなあ。これ。
国旗の概念を根底から覆す。
TPPもこれで引っ掻きまわしてやれ!
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