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ラジ・スラーニとの対談・質疑 [中東]

ラジ・スラーニ 東大講演2日目 2014 10 12

臼杵陽・日本女子大教授との対談・質疑

(対談は、会場から寄せられた質問を臼杵先生がいくつかにまとめてぶつけるという形で行われた)

 :イスラエルというとき、それはイスラエル政府なのか、イスラエル国民なのか、ユダヤ人なのか、ユダヤ教徒、イスラエル一般市民なのか、軍人なのか。それらは分けられるものなのか。

 :世界には宗教に基づく国家が一つあって、それはバチカンです。教皇のもと成り立つ、単純でユニークな、キリスト教の小国家です。ありがたいことに面積数平方キロの(訳注:数平方キロもない)非常に小さな国です。イスラエルは宗教に基づく世界で二つ目の国です。

想像してみて下さい。日本は仏教徒でなければ日本市民とは認めない、ということになったらどうします? あるいは、フランスではキリスト教徒以外は市民と認めない、他の宗教を信じる人はフランス人ではないなどというようなこと、想像できますか?

イスラエルは国家が宗教に基づいているという非常に危険な先例なのです。ずっと事実上そうだったのです。宗教に基づくシオニズムというイデオロギーです。ですから、シオニズムは一種のレイシズム(人種主義/人種差別)なのです。国連の決議がそう言っています。私たちが勝手に言っていることではありません。イスラエルにはパレスチナ人もいますし、世界からユダヤ国家とは認められないのです。パレスチナ人にもイスラエルをユダヤ国家と認めるようイスラエルは求めていますが。

彼らはまた単純にユダヤ国家の純粋性を求めています。ですから彼らはイスラエル内のパレスチナ人のことを「癌」と呼んだりするのです。「ゴキブリ」という言い方をする人たちもいます。もっと文明的な人たちは、彼らは片付けなくてはいけない、別の所へ移送しなくてはならない、と言います。

国家がこういったイデオロギー、あるいは宗教のこのような側面に基づいていますから、すべてがごちゃ混ぜ、いっしょくたになるのです。政府、議会、政党、軍、社会。イスラエル側、ユダヤ人側はそれで大満足です。しかし私たちパレスチナ人としてみれば、それがために彼らは人種主義となるのです。

パレスチナ人(アラブ人)たちはそこにずっといました。第二次世界大戦が起き、(ナチス・ドイツによるユダヤ人大虐殺)ホロコーストが起き、ユダヤ人たちは安全な避難場所を求めパレスチナにやって来ました。人々は彼らを歓迎しました。ところが、突然、私たちはそういう犠牲者たちの、そのまた犠牲者にされたのです。

私たちが何をしたと言うのでしょう。ヨーロッパが彼らを迫害し、ホロコーストとという仕打ちを与えたがために、彼らはヨーロッパを逃れ、私たちのパレスチナの地にやって来ました。ところが、私たちは彼らの犠牲者となったのです。

ですからいろいろな呼び名が私たちパレスチナ人を始めアラブ人を混乱させます。ユダヤ人、ユダヤ教徒、イスラエル、そして国家のさまざまの構成要素が、ごっちゃになっています。しかしご存知のようにイスラエル国民の22パーセントはパレスチナ人なのです。

 :イスラエルが再びこの夏ガザを攻撃した。イスラエルの真の目的は?

 :私の友人であり同僚であるイスラエル人の研究者、イラン・パペは、パレスチナの民族浄化ということを書いています。そういうことを書き始めたとき、彼は容赦なく厳しいイスラエル批判を展開しました。大変な勇気をもって客観的に自分の信念に従ってやったことです。それも、長年の研究、深い分析に基づいてのことです。

手短に言うとこうです。まず7年間にわたりガザを犯罪的な先例のない封鎖状態に起き、人々を窒息させました。イスラエルが公言した表向きの目的は、ハマスの弱体化ですが、それどころの話ではありません。

私たちは一等最初から、これは集団懲罰だ、ガザ200万人に対する戦争犯罪だと言ってきました。しかし彼らはお構いなしでした。聞く耳を持ちません。7年間、人間が起こした最大級の災難が私たちに降り掛かりました。

それは事実です。私はその詳細を語ることもできます。何時間と。たとえばガザの60%の人々が失業です。収入がありません。ガザの住民の90%が貧困ライン以下の生活です。85%がUNRWA国連難民救済事業機関やWFP世界食糧計画の援助と配給に頼って行きています。食べ物の施しを受けているのです。私たちは物乞いの国となってしまいました。ガザはさながら動物農場と化しました。国際社会が食糧と医薬品をどんどん恵んでくれます。

ガザは世界でも大学卒業率の最も高い所のひとつです。私たちには最も熟練した労働力があります。財界も地域で最強のものであるはずです。しかし、人が起こした最大級の災難が降り掛かっているのです。私たちは人間として私たちが持っている能力を普通に発揮することが許されません。

ガザではなぜ飲み水の処理ができないのでしょう? 下水の処理も許されません。なぜでしょう? 下水は処理もできずに海に垂れ流しです。環境の汚染です。飲料水や下水の処理すら許されないのです。世界にこんな場所があるでしょうか?

6年間で3回も戦争が起きました。そしてその6年間の内に起きた戦争では、市民がその嵐の真っ只中だったのです。イスラエルはハマスが標的だった、封鎖もハマスが対象だったと言います。ハマスの息の根を止めるのだと。しかし、彼らが標的にしていたのは市民です。市民が殺され、あるいは負傷し、民間の建物や施設の破壊です。2008年から9年にかけての攻撃で破壊されたものも、まだ再建されていませんでした。今エジプトでガザ復興のための会議をやっています。封鎖されたままのガザが再建できるでしょうか? これまでの6年の経験で、それが不可能なことは分かります。封鎖が続けばガザの再建には35年かかるとUNRWAの責任者も言っています。

ちゃんとした飲み水もない、下水も垂れ流し状態、電気もなく、失業、貧困、2年ごとに戦争、死者、負傷者、障碍者、破壊…。最終的な目的は何ですか?どうなりますか?

人はもうそこには居られません。出て行きます。そうして民族の浄化が行われるのです。これまでの70年がそうだったのです。ガザは面積365平方キロ、人口およそ200万人。そのガザで起きていることです。

こうして、多くの人がもう希望はないと言います。絶望だと。イスラエルだけじゃない、全世界が共犯だ、ぐるになって私たちを苦しめる、と。

イスラエルの言うことはウソばかりです。私は100%そう思っています。いろいろと言い訳、言い逃れを並べたてるだけなのです。

イスラエルが恐れているのはガザの人口爆発です。イスラエルにとってガザは「人口爆弾」なのです。イスラエルとしてはガザのパレスチナ人は海の底に沈むかしてほしい。それがかなわなければ、ガザから出て行ってほしい。他に解釈のしようがありません。それがイスラエルの真の目的であり、真の目標です。

今回、きっかけはヘブロンの3人の入植者の誘拐と殺害でした。ガザと一体何の関係があると言うのでしょう? まずは西岸地区を3週間にわたって痛めつけました。住民に対する懲罰です。そのあと、こう言ったのです。何だ、命令はガザから来ていたのか、と。そしてこう言い始めます。ハマスの指導部を叩かなくてはならない。そのあと今度は、いや、ロケット弾を(イスラエルに)撃ち込めないようにするんだ、と言い始めます。次は、いや、トンネルの破壊だ、と。言い訳がころころ変るんです。

しかし真の目的は、私たちの生活を地獄のような堪え難いものにして、出て行ってもらうことです。

(続く)



ラジ・スラーニ 各会場の講演と質疑:


 

1011日 東京大学


 講演「沈黙という名の共犯関係」


 質疑応答


1012日 東京大学


 土井敏邦監督の記録映画について

 臼杵陽教授との対談


1013日 京都大学


 講演「かくも重き罪 裁かれぬ理不尽」

 質疑応答


 京大講演 IWJ 動画 「ガザに生きる尊厳と平等を求めて」


1015日 広島大学


 講演  「戦争犯罪の責任を問う」

 質疑応答


1017日 東京四谷講演  弁護士集会


 講演「ガザの封鎖を解いて下さい」

 質疑応答

 

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